犬魚倞のブログ

犬魚倞(いぬざかな りょう)です。倞が変換で出てこないと思うので犬魚でいいです。頑張ります。

【#うたミル】は部活動青春ものにどんな爪痕を残すのか

 お久しぶりです。犬魚倞です。

 

 皆さんは『うたごえはミルフィーユ』、通称『うたミル』という作品をご存知でしょうか。

 

 恐らくご存知でない方が大半かと思われます。というのも、始動日はついひと月前の2022年4月28日で、現状存在するのは公式サイトとTwitterYoutubeチャンネルとそこに上げられたプロジェクト解禁PV、キャラクター/キャスト紹介、第1話のオーデイオドラマ、そして彼女たちが歌う奥華子さんの「ガーネット」のアカペラアレンジ動画のみの始まったばかりのプロジェクトだからです。

 しかし上記「ガーネット」アカペラアレンジ(投稿日は始動日と同日の4月28日)はYoutube上で現在10万再生以上されており、新しいプロジェクトながらも何かひとつでも噛み合えば爆発的に人気になるようなポテンシャルを秘めていると個人的に思っており、今後の動向を見守りたいと思っているプロジェクトです。(私がここまで入れ込む理由は後に説明させていただきます)

 

 今回はそんな『うたミル』の概要と魅力、そして描かれるかもしれない未来の話をしてみようと思います。

 

まずうたミルって何?

 正式名称『うたごえはミルフィーユ』の本作。“キャラクター×女性声優のアカペラプロジェクト”を掲げており、アカペラを通じてキャラクターとキャストの双方が成長していく物語を展開していくと公式Twitter等で紹介されております。

テーマは何?

 「アカペラ」×「女子高生」×「コンプレックス」がテーマとされ、公式サイトで確認されるキャッチコピーは「ーーーー輝かなくても、青春だ」

utamille.com

原作は?

 制作は大手映像、音楽ソフトメーカーとしてその名を知らない人はいないポニーキャニオン

www.ponycanyon.co.jp

キャラクターデザインはYoutubeで3000万再生以上されている和田たけあきさんの「チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!」

youtu.be

や、1000万再生以上されている「チェチェ・チェック・ワンツー!」

youtu.be

などのイラストを担当している「チェリ子」さん

 そして原作はポニーキャニオン×山中拓也、シナリオは山中拓也となっています。

note.com

 

 

 

 

 

エッッッッ!?!?!?!?山中拓也!?!?!?

 

 山中拓也って『偶像殺し×現代病理』を掲げて一部に独特の熱量を持つファンを抱えるカリギュラ」シリーズや、カリギュラシリーズで仕事を共にしたことでDECO*27と懇意になり「DECO*27×OTOIRO×山中拓也Youtubeを中心に行われている『音楽による裁判員制度』である視聴者参加型楽曲プロジェクト「MILGRAM‐ミルグラム‐」山中拓也!?!?!?!?こんなキラキラ青春学園モノみたいなガワでシナリオが山中拓也!?!?!?!?

 

 

……取り乱してしまい申しわけございません。というのもわたくし、浅学ながらもそれなりに山中拓也さんの作品のフォロワーで、少なくとも上記2作品は追いかけている身なのですが、カリギュラシリーズでは『現実で生きる上での苦しみやトラウマを抱えた人間が人格を獲得したバーチャドール(現実で言うボーカロイドのようなもの)の歌を聴くことで苦しみのない理想の世界に取り込まれ、主人公たちは理想世界を満喫していたけれどあるきっかけでその世界が偽りのものだと気付き現実へと帰還しようとする物語』が描かれ、「MILGRAM」では『10人の現行法で裁けない人殺しの囚人達の罪が監獄「ミルグラム」で歌と映像(ちょうどボカロの楽曲とMVのようなもの)で映し出され、それを見た看守エス=視聴者投票の結果によって囚人達が赦されるか赦されないか決定されリアルタイム展開する物語』が描かれています。

 

 2作に類似点は少ないですが『偶像殺し×現代病理』『トラウマ』『偽りの理想世界』『人殺し』『囚人の罪の許否が視聴者投票に委ねられている』などなかなかに穏やかでないポイントが多いのが山中拓也さんの作品の特徴のひとつです。この2作以外のお仕事履歴を見ても比較的殺伐としたものが多く、女子高生の青春物語を書くよ!と急に言われたらめちゃくちゃ驚きます。

 

まあでも言われてみれば

 しかしこちらの『うたミル』、よく見てみると山中拓也さん『らしい』エッセンスがふんだんに盛り込まれていて、たとえばテーマの「アカペラ」×「女子高生」×「コンプレックス」だとか、キャッチコピーの「ーーーー輝かなくても、青春だ」だとかは「カリギュラ」シリーズでキャラクターひとりひとりの悩みや葛藤(それも生死に繋がるような深刻なものから他人からすればそんなの気にしなくてもいいじゃんと言われかねない悩みまで)を平等に、丁寧に取り扱った氏の通底したテーマが見えるような気がします。

また、これは私の好きな山中拓也さんのツイートなのですが

……と私たちの現代や生活の問題と地続きで、なおかつ当たり前すぎたり人によっては「しょうもな」の一言で終わってしまうような小さい躓きを徹底的に描き出すことが好きな方なのでファンタジーの魔法が使えない今作でどのように易しくない現実の躓きと向き合っていくのか個人的にとても楽しみです。

花言葉に真剣になろう

 更に山中拓也さんの作品を楽しんだことのある方ならご存知かと思われますが山中拓也さんはキャラクターの誕生日を誕生花と花言葉で決めているきらいがあり、

みんな大好き「カリギュラ2」の9月2日生まれ花言葉『絶望』自罰医者と「MILGRAM」のユノさんは誕生日が同じだけど誕生花が違う。9月2日の誕生花はマリーゴールドかチューベローズなので恐らくユノさんはチューベローズなのだがこちらの花言葉は『危険な快楽』。花言葉考えたやつが9月2日生まれの人間個人的に恨んでいないと『絶望』と『危険な快楽』の2択にはならんやろ。

 

その要素はしっかりと『うたミル』にも受け継がれている、というか強化されすぎて公式サイトに初手で載っています。

f:id:fish_quint:20220516164001j:image

個人的にアザミの花言葉って「報復」とか「厳格」の方がイメージ強いのですが(というか「安心」が載っているところを見たことがない)公式サイトにブラフ貼っているのか花言葉真摯おじさんは花言葉ではそんな事しないのかどうか、今から心理戦が始まっています。

キャラ造形も凄いぞ

 更に公式サイトをよく読んでみるとなかなか凄く、恐らく主人公枠であろうウタちゃんの説明からしてこうなんです。

f:id:fish_quint:20220516164707j:image

 いくら「引っ込み思案な私だけど、ここで頑張ります!」タイプの主人公でも『人見知りの内弁慶でヘタレでチキン』まで言われることはないだろ。

全部見ても30分くらいだからとりあえず聞いて欲しい

 とまあウダウダと『うたミル』、やべーかもしれん!見よ!!とブログでダラダラと言い続けてきましたが、最初に言った通り『うたミル』は始まったばかりのプロジェクトで現在履修すべきものがとても少ないのが特徴です。キャラクター紹介×6(2分×5人+4分1人)とボイスドラマ#1を見て「ガーネット」を聞けばそれでOK。当然まだまだ始まったばかりの作品なのでどう転ぶかは全く分かりませんが、私は何よりキャッチコピーの「ーーーー輝かなくても、青春だ」に既にしっかりとキャッチされてしまっています。誰も彼もが輝かしい青春を送るわけではない。光あれば影があるし楽しいことばかりなどありえないしドラマチックな挫折やそこからの格好良い再起なども都合よくあるものじゃない。勿論それらを素晴らしく描いている名作は沢山ありますが、もしかしたら『うたミル』は、それら名作にノることが出来ない、輝かない青春を生きた人間に刺さる一作になるのかもしれないポテンシャルを秘めています。どこか引っかかるところがあった方は、是非キャラクター紹介から見てみてください。初手「嫌いな物:クラスカースト上位の人」の強烈に“陰”の主人公が襲いかかってきます。

 

youtu.be

【Pカップ白瀬咲耶さん10位】ヤツは十傑の中でも最弱……一極編成限定一枚など十傑の名折れよ……

犬魚倞です。

 先日行われた4周年Pカップで白瀬咲耶さんランキング10位、ギリギリプラチナという栄誉を頂きました。期間中は10位にかじりつくことに必死で周りが見えていなかったのですが終わってみれば咲耶さんの10位ボーダーはあまり高い方ではなく他のキャラクターの順位ならプラチナに手すらかかってもいないこともあるファン数ではあったのですが、シャニマス始めて半年の走法知らないiPad Pro持ってない限定もろくにないほぼ無計画ガバガバプレイングマンでも一週間で4億ちょい稼げたよ新参でもワンあるよという報告を兼ねてブログを書こうと思った次第です。

f:id:fish_quint:20220418150025j:image
f:id:fish_quint:20220418150023j:image

嬉しいね

 

 

使用端末

iPhone11

富士通LIFE BOOKS AH

 

普段使いの携帯とPC。携帯の充電が切れたらPC、という具合にプレイしていたが途中でどう考えてもPCよりiPhoneの方が早く回れるということに気づき中盤からは充電しながらiPhoneで走っていた。普段からアプリ版はしょっちゅう固まるな〜と思っていたのでPカップ中はSafariブラウザ版でプレイ。

 

使った編成

普段からTrue回収や信頼度上昇のためにWINGで使用している編成を流用。途中から(もしかしてVi一極って雑誌連打でS1~S2通過できるんじゃね……?)という真理に気づいて若干編成を変えた。

【普通にS1S2レッスンお仕事のS2で1回オーディションしてた時の編成】

f:id:fish_quint:20220418150056p:image

【EXスキル】

f:id:fish_quint:20220418150124p:image
f:id:fish_quint:20220418150120p:image

弱い。

 

P白瀬咲耶さん

スキルを取らないのでどのカードでもOK。時間のことを考えるとアイドルロードが良いのだろうなとは思ったけれどステータスに不安があったのでコミュの多いP-SSRを選択。プロメッサを選んだのは直前の限定セレチケで念願叶ってゲット出来て舞い上がっていたから。

 

【浪漫キャメラ0号】七草にちかさん

最大の功労者。カード自体のアピールも強けりゃパッシブ2つもライブスキルも強い。このカードを所持していなければそもそもPカップ走ろうとか考えていなかったと思う。

 

【One.Two……♡】黛冬優子さん

オーディションマスタリーMe、SPはもちろん限定をろくに持っていないので3.5倍アピールが本当にありがたい。スキルパネルをアピール狙いで取っていくだけでSP安めに2.5倍Viアピールと80上限取れるのも嬉しい。凄くお世話になった。

 

【UNTITLE】樋口円香さん

数少ない4凸しているViサポカだったので採用。雑誌連打前はラジオ、トークマスタリーが結構いい味出してくれていた印象。

 

【Cherry Jelly】大崎甘奈さん

3凸だけれどアピールは2.9倍とまずまずの火力だしビジュアルマスタリー体力が強いかと思い採用。実際同じくビジュアルマスタリー体力持ちの浪漫キャメラにちかさんと同時にビジュアルレッスンに滞在している時などすごいことになった。雑誌連打に切り替えた際に編成から外した。

 

【をとめ条約】杜野凛世さん

ゲスト。【One.Two……♡】と同様にオーディションマスタリーMe、SP狙いで編成。

 

スキルの取り方

f:id:fish_quint:20220418150444p:image

だいたいこう

 

S2オーディションはサポートのアピールだけでも勝てるので振り返りはS3になってからやっていた。

びっくりするほど強くないのでS4入ってからはSPが50貯まる度に藁にもすがる思いで【One.Two……♡】の20%、35%、50%パッシブを取りに行っていた。途中から100上限、要らなくね……?となり③は途中から一番最後の上限100を取らずに4に行くようになった。

 

アイテム

敏腕記者セットとVi雑誌を持ち込んでいた。貯蓄が全然なかったので速攻で無くなる。

なくなって以降はキーホルダーとビジュアル応用知識本を持っていった。

 

 

 

【雑誌連打に気づいてからの編成】

f:id:fish_quint:20220418150745p:image

【EXスキル】

f:id:fish_quint:20220418150808p:image
f:id:fish_quint:20220418150813p:image

戦いの中で強くなっている

 

【Cherry Jelly】大崎甘奈さんを外して【SPEACE WHAT?】西城樹里さんを採用。【SPEACE WHAT?】はアピールが2.5倍なので編成から外していたがライブスキルの3.5倍ViアピールとViバフ20%が【UNTITLE】取るより良いのではないかという考え。道中に50%バフもあるし。髪色が似ているせいで甘奈さんと円香さんのライブスキルをしばしば間違う問題が解消された。約束リカバーのシュイーンが入るようになったがどう考えてもシュイーン数秒がロスタイムになるような効率プレイはしていないので問題はない。

 

雑誌連打はMe不足に陥りやすいと聞いたのでP咲耶さんのEXスキルをVi初期値3からMe初期値2のVi初期値1に変更。

 

下準備

Pカップアプデ前にファン数稼いで決勝まで行って中断しておいて開始後に優勝するとスタートダッシュできるということは知っていたのでそれはやった。営業、アンティーカみんなで行って欲しいな……という気持ちから咲耶さん一人編成じゃなくアンティーカ全員編成で営業に送りだす。差し入れを持たせ忘れる。

f:id:fish_quint:20220418150940p:image

スタートダッシュのおかげで一瞬だけ6位の図

 

1日目

持ち前の不眠が本気を出して全然眠れず総睡眠時間が30分くらいだった。今後が不安すぎ。

通っている職業訓練校が午前のみだったので15時丁度にスタート。10位台を行ったり来たりしながら最上位の凄まじい速度のファン数増加に恐れ慄いていた。

リフレッシュタイムを0時~6時に設定して0時以降にS1からS4まで全週オーディションを受けて260万人ちょいを稼いで決勝止めしたデータを用意して就寝。

 

2日目

起きたら10時。リフレッシュタイム4時間オーバー。バカが代。

職業訓練校が休みだったので散歩みたいな速度ながらもほぼ一日走れた。

ここら辺でいやこれナマ言ってられんわとなり営業編成をアンティーカ全員編成から咲耶さん1人に変更。理想でメシは食えねえからよ……

リフレッシュタイムに入ってからプロデュースアイドル欄の咲耶さんの数を数えたらフル稼働の2日目よりも1日目の方がプロデュース人数が多かった。なんで?

 

3日目

職業訓練校が普通にある日。6時起床に成功したので登校前に何周か走った。

自分の住んでいる地域で丁度桜が満開だったので帰りに少しだけ花見をしてきた。

f:id:fish_quint:20220418151114j:image

 

夜にフォロワーと『ベイビーわるきゅーれ』の同時上映をする。暴力最高〜!!!

0時就寝をするも3時頃に目が覚めてしまい以降眠れなくなる。どうしようもないのでネットで『Pカップ 走法』とかで検索しはじめる。ここで色々見たことでVi特化なら雑誌連打で良くない……?と気づく。遅い。

 

4日目

今日以降職業訓練校はないので理論上は4日間フル稼働できる。理論上。プロデュース方法を雑誌連打に変更したことで効率がかなり良くなった気がする。

昼頃に発表された別作品のデカい新情報に動揺してめちゃくちゃ時間を食う。

腕肩腰尻が痛み始めとりあえず痛むところ全てにバンテリンを貼る。

寝る前に(どう考えてもPCよりiPhoneの方が周回のスピード早くね……?)と気づく。あらゆる気づきが遅い。

 

5日目

一日走っていた。ナマなのでなるべく優勝するように務めていたが前後の人達のスピードが加速していきついに準決落ちに手を出す。理想でメシは食えないからよ……(2度目)

 

6日目

一日走っていた。途中やたら眠くなって家の中を歩きながらプレイしたりしていた。

夕方にフォロワーからDMが来て公式Twitter企画で咲耶さんがツイートしていることを知る。ツイートでもトーク回しが異様に上手いんだよな……

日付変更頃に明日はリフレッシュタイムがないから30時間ぶっ続けでプレイしなくてはいけないことに気づく。

 

7日目

7時頃に1時間くらい気絶したがそれ以外はほぼ走れた。後ろとそこそこ差が付いていたので途中で止まることも考えたがせっかくの祭りだしギリギリまで走るかの気持ちで12時ギリギリまで走った。

最後の方は多分抜かされないと思えるだけ数字に差が出ていたので優勝周回出来て精神衛生的にも良かった。数字合わせるとかそういう芸当は出来ないので普通に終了。綺麗な数字で止めたりどっかしらの連続3桁398にしたりしてる人達本当にすごい。

 

結果

総ファン数429,852,371人、白瀬咲耶さんランキング10位で終了。

f:id:fish_quint:20220418151321p:image
f:id:fish_quint:20220418154853p:image

前回3.5周年Pカップ時は始めてひと月も経っていないど新参で「なんかファン数のイベントやっているし手持ちの咲耶さんのTrueだけ開いておくか」くらいの気持ちで銀称号だったのでそこから比べると急にデカくなったなという気持ち。

途中自分が11位時に10位だった方がリアルで何らかのトラブルがあったらしく名前が「トラブルがあったので止まります」というニュアンスのものになりファン数増加が止まったのでその方が走り続けていたらまた違った話になっていた可能性もある。

 

感想

メチャクチャきつい。

そもそもソーシャルゲームのランキングイベントを本気で走るのが初めてだったというのもあるがひたすら可処分時間をゲームに突っ込み続けることでそれ以外になにかしなくてはならなくなった時にその『なにか』をしないで走り続けている自分のゴーストが前に見えるし精神的負担がデカい。

ただ周回に関しては前ブログで書いた通り自分が最悪面食いオタクで白瀬咲耶さんのお顔が超絶ウルトラ好みなので一生咲耶さんのお顔が見れるという点でそんなに辛くなかった。プロメッサ通常衣装のふあふあ髪大好き。

なるべく外見の部分の生活に支障をきたさないというルールを設けて走っていたのでTwitterでPカップを走っている風のツイートは期間内は多分しなかったと思うし期間中の通院や家族の送迎(公共交通機関が終わった田舎住みなので車持ちの人間は車持ちでない親族を必要に応じて任意の場所まで運ばなければいけない。)などもちゃんと行った。その分皺寄せが自分の部屋に来ていて机上が薬局から貰ってきて分別していない薬と大量の空きペットボトルと湿布のカスでまみれ最悪になっていた。

 

総括してマジでキツいし生活が終わるしウオーこんなやべぇイベント二度とやらないぜ!とい気持ちでいっぱいになっているがそれはそれとして、人生において何かに全力投球するという経験がほぼ無かった自分にとって今回Pカップに可処分時間を全て割いて何とか10位という称号を頂いたことはかなり貴重で新鮮な経験となっている。頑張りが反映されて嬉しくないことはないしね。

 

次回走るかどうかは全く考えていないというか次回時自分の生活がどうなっているか全く分からないので計画が立てられない。それはそれとして途中で気づいた色々な改善点などを最初から直した状態で走るとどうなるか気になるし、無凸なので使わなかったが手持ちで【スプリング・フィッシュ】田中摩美々さんや【心に住む人】三峰結華さんなどがあるので彼女らを凸して次回アンティーカ多めで走るのも楽しそうだな……という気持ちもある。ともかく実際に次回が近づいてから考えていきたいところではある。

 

改めて今回Pカップ走られていた皆様お疲れ様でした。終了後にTwitterで皆様の結果ツイートを拝見するのお祭り感があって楽しかったです。周りの人達のファン数が増加しているのを見る度に焦燥感と同時に「こんなに白瀬咲耶さんのことが好きな人たちがいるんだな」と思えて少しの嬉しさがありました。隅の方ではありましたが皆様のお祭りに参加することが出来てたいへん楽しかったです。もし4.5周年も走ることがあればよろしくお願いします。

 

コンパスのキャラデザがすごいよって話

 本日、『#コンパス【戦闘摂理解析システム】』が五周年を迎えた。たいへんにめでたい。自分は2018年の夏頃にコンパスと出会ったので五年間ずっと見てきたという訳ではないのだが、だとしても三年ぐらい継続して遊んできたというのは結構衝撃である。

 このブログはコンパス五周年めでたいねの気持ちを込め、日々ボンヤリと考えている『なぜ対人ゲーが苦手なはずの私がコンパスだけは続けられているのか』その回答であるコンパスのキャラクターデザイン(ここで言うキャラクターデザインはキャラクターの見た目だけではなく設定などを包括し『そのキャラクターを我々プレイヤーにどう見せているか』の意味)の秀逸さの話をしたいと思う。

 

 

語らない

 コンパスには多彩なヒーロー(コンパスでのキャラクターの総称)がいる。現在時点でコンパスオリジナルのヒーローの数は34人。キャラクターごとに世界観もバラバラで、亡国の総帥、IQが340あるニート、現代忍者Youtuber、アニメに出てくる魔法少女など「なんでこいつら同じゲームに出てきて戦ってんの?」という感じの濃い味付けの顔ぶれが並ぶ。こんだけ濃いなら設定も凝っているんだろうなぁと思うこと請け合い。

 しかし実際にコンパスを開いて、キャラクター紹介の欄を見てみるとこうである

f:id:fish_quint:20211218002605j:image

魔法少女リリカルルカ」の主役
人気は「ルルカ」のほうがある

 

  29文字2行の簡単な説明だけがポツンと書かれている。

 ほかのヒーローも見てみると

f:id:fish_quint:20211217183733j:image

総帥と呼ばれるこの男の素性は
決して口にしてはいけない

 

 同じく2行の簡素な説明がされている。

 多種多様な34ヒーローを抱えながら、コンパスは徹底してキャラクターについて多くを語らない。例外として月に一度のイベント、シーズンではそのシーズン担当のヒーローの日常が描かれたショートショートが描かれたりヒーローのバランス調整時にちょっとしたテキストが付随していたり、ヒーローの中でもリリース当初からいるオリジナル10と呼ばれるヒーロー達はショートアニメが制作されていたりするがそれらはほとんどの場合既知の情報の範囲を出ない。最低限の情報のみを与え余白を作り、受け手の想像を膨らませる。そうは言ってもこれだけではキャラクターデザイン(見た目の方の意味)と2行テキストしかなく余白が広大すぎて想像の余地すらない。じゃあほかの要素はどこに転がっているのか?それを説明したい。この記事で全ヒーローに触れるのは大変なので以降は『魔法少女 リリカ』に関連するものに絞りだいたいこういう感じで情報を出してくるよと紹介する。

 

世界観カード

 コンパスは使用ヒーローを一人選択し、4枚のカードでデッキを組み戦うゲームである。カードにはレアリティ、イラスト、名前、色、効果があり、イラストと名前はヒーローと関連のあるものがデザインされている。このカードに描かれている物事が余白を埋める内容だったり、さらに余白の白さを強めるフレーバーだったり性能だけでは語れない魅力を持っている。

 

UR【全員集合!魔法少女リリカ☆ルルカ】

f:id:fish_quint:20211217190316j:image

魔法少女リリカ☆ルルカ』が5人組魔法少女グループだということが分かる。

 

SR【魔法少女☆ルルカ】

f:id:fish_quint:20211217190706j:image

 上記【全員集合!】の中で黄色い子が魔法少女☆ルルカ。リリカのキャラクター説明に出てきた『人気は「ルルカ」のほうがある』のルルカだと分かる。この時点でリリカからルルカへの感情がどのようなものかは分からないが、このカードの効果は【黙】と【周】。周囲攻撃カードでサイレント(食らうと一定時間カードや必殺技が打てなくなる)効果持ちなのだがリリカは周囲攻撃カードの発動が遅いのでこのカードと相性が悪い。フゥーン……?(周囲に限らず全ての攻撃カードの発動が遅いから上記【全員集合!】とも下記【運命の女神】とも相性が悪いのは内緒)

 

UR【運命の女神 エボリューション☆リリカ】

f:id:fish_quint:20211217191254j:image

 なんかリリカ最終フォームっぽいやつ。ステッキのハートの下に他のメンバーの色のハートが集まって四葉のクローバーのような飾りが付いてるのが良い。なぜリリカがこうなるのかはコンパスにしては珍しくリリカのショートアニメで語られている。最終的にリリカは全てを超越したような“これ”になるのだが今はそうではない、過程の姿がヒーローとして実装されているのだと取れる。

 

 このような感じで世界観カードから結構ヒーローの色々なことを想像することが出来る。説明欄の2行紹介では『魔法少女リリカ ルルカ』の主人公で、でも人気はルルカの方がある。ということしか分からなかったリリカについて、リリカルルカはどういうメンバーで構成されているのか、リリカは最終的にどうなるのか、深読みするなら自分より人気のあるルルカに対してリリカが抱いているかもしれない感情までもがうっすらと見えてくる。

 世界観カードはキャラクター実装後結構経たないと実装されないので、カード無しの時点で色々推測するも楽しいし、カードが来て改めていろいろ考えるのも楽しい。

 

ボイス

 当然だがキャラクターがいて声優が付いていてバトルするのでボイスがある。このボイスの方向性で大まかな性格は分かってくる。パッとリリカの性格が分かりそうなものを上げると、

 

ゲーム起動時:『魔法少女リリカ、君のために戦うよ!』

キャラクター選択時:『選んでくれてありがとう!頑張るからね!』

敵キル時:『リリカのこと、嫌いにならないでね』

自身デス時:『ルルカ……助けて……!』

勝利かつベストプレイヤー時:『魔法少女リリカルルカ、お仕事完了!』

 

 こんなところだろうか。全体的に献身的な魔法少女という印象を受けるが選択時の『選んでくれてありがとう』やキル時自ら手を下した相手に『嫌いにならないでね』と言うところなどは前述の人気の話などと組み合わせると割と面白い捉え方が出来る。

 そしてデス時の『ルルカ……助けて……!』である。へぇ……?

 

性能

 コンパスには4つのロールがある。足が早くダッシュアタックを持つ『スプリンター』、最前線に立ち相手を倒すことに長けた『アタッカー』、後方から長い射程で相手を削ることができるが耐久が不安な『ガンナー』、高い耐久でチームの陣地を守る『タンク』の4種だ。当然妨害特化のアタッカーや高耐久なガンナー、攻撃的なタンクなどロールの中でも色々なタイプのヒーローがいるので一概には言えないが、リリカはこの中では素直な性能のガンナーである。

f:id:fish_quint:20211217200828j:image

 攻撃防御体力全てあまり高くはないがアビリティの効果で自分の陣地を防衛して(踏んで)いる時は自身と、同じ陣地を踏んでいる味方の攻撃力を上げることが出来る。自分一人の力でなくみんなで頑張ろうとする姿勢はだいぶ主人公っぽい。このみんなで頑張ろ系スキルの名前が『わたしのために がんばって』である。ヘェ……??

 ヒーローには攻撃防御体力の他に攻撃カード適正というものがある。コンパスの攻撃カードは目の前の敵に強力な一撃をお見舞する【近】、遠くの敵を狙うことが出来、攻撃が複数段に分かれている【遠】、周囲一定範囲をまとめて薙ぎ払う【周】、ヒーローから扇状に射程が発生し最大10発当たるロマン砲の【連】がある。この4種類のカードの適性はヒーローごとに様々で、桜華忠臣ならば近が速いので近を、双挽乃保なら連が速いから連を、とヒーローに積むカードの指針になるのだが、

f:id:fish_quint:20211217201916j:image

f:id:fish_quint:20211217201920j:image

 リリカはなんと全てのカードが遅い。

f:id:fish_quint:20211217202014j:image

 「まさかリリカが攻撃カード詰んでるわけないやろ」みたいな油断を突く超高等プレイをしようとでもしない限り攻撃カードを積むことが選択肢に上がらない。このメチャクチャなカード適性に何かを見る人もいるだろうし実際後述する楽曲を鑑みるとおおむね正解である。

 ともあれ積むカードの話をすると、どのヒーローでも発動速度がほぼ同じな敵弱体化や味方強化系の支援カードを積むことが多くなる。基本的に自身が突出して強くなることよりも『みんなで頑張る』ことを目的としたプレイングに自ずとなるデザインをしている。

 

楽曲

 正直これの話をするためにブログを書き始めたと言っても過言ではない。コンパスプレイヤーなら分かってくれると思う。

 今まで書いてきた通り、コンパスのヒーローはテキストで多くを語られることはなく、カード、ボイス、性能などからキャラクターの形の欠片のようなものを集めて全景を想像する楽しさがある。しかしそれらは氷山の一角でしかなく、コンパスヒーローを考える上で最も大きな要素であるのがこの楽曲だ。

 コンパスのヒーローは一人一曲、有名ボカロPが制作したテーマ曲を持っている。制作陣はそれはもう豪華で、最近だとKINGなどのkanariaさん、ビターチョコデコレーションやうっせえわのsyudouさんなどを起用している。

 謎の多いキャラクターが居て、キャラクターのテーマ曲がボーガイド楽曲で存在する。そうなったらやることはひとつだろう。そう。『考察』。ボカロリスナーならご存知だと思うがボカロ曲は内容が明快だろうと難解だろうと受け手側がめちゃくちゃ考察したり解釈を考える文化がある。リズムを聴き、歌詞を読み取り、MVの意味を読み解こうとする。だからテキストは最低限でいい。楽曲が何より雄弁なので。

 リリカの楽曲は『アルカリレットウセイ』。かいりきベアさんの書き下ろし楽曲である。

youtu.be

 『失敗作少女』などで有名なかいりきベアさんに依頼している時点でかなりのうわぁ値をたたき出しているが挙句の果てに『劣等生』である。全攻撃カード適正無し、『選んでくれてありがとう』、『嫌いにならないでね』、そして『劣等生』……何よりも実際に動画を見て頂くのが一番良いが歌詞の方もなかなか凄まじいことになっていて、これを聴くと聴かないとでリリカのイメージはだいぶ違うものになると思う。そのくらいコンパスに於いて楽曲の重要度は高い。この楽曲はバトル時にも流れるのだがコンパスで流れるものはいわゆるゲームサイズ、一番のみの物で、こちらも世界観カードと同じようにフルサイズが投稿されるまでは時間が空くことが多い。一番だけで分かった気になっていたら二番でボコボコにされるなどよくある。

 

要はコンパスのキャラデザの何が凄いの?

 ここまで長々とろくろを回してきたが要するに『多くをテキストで語ることはせず、色々なところに散りばめたフレーバーとキャラクターそのものである楽曲を元にプレイヤーに想像をさせる』ところが凄い。楽曲は雄弁ではあるが歌であるがゆえに明瞭には語られない部分やMVのアレどういう意味?となる部分が必ず出てくる。そこにプレイヤーの思考の余地があり、プレイヤーごとのコンパスヒーロー像が出来上がっていく。敢えて余白の白さを際立たせ、ここに当てはまる色を探してみてねと言わんばかりのキャラクターデザインに気がついたら夢中になってしまう。あーでもないこーでもないと言いながらそんなことをしていたらあっという間に三年が経ち、コンパスは五周年を迎え、オリジナルヒーロー34人全員を好きになっていた。

 

 コンパス非プレイヤーは知らないだろうから蛇足を付け足すとリリカ関連で時折名前が出る魔法少女ルルカが一昨年ヒーローとして実装された。三周年記念くらいから世界観カードのキャラクターをヒーロー実装するようになり、その第二弾であった。

ちなみにテキストがこうで

f:id:fish_quint:20211217212123p:image

 

世界観カードがこうで

f:id:fish_quint:20211217212237j:image

 

カード速度がこうで

f:id:fish_quint:20211217212331j:image

アビリティがこうである

f:id:fish_quint:20211217212501p:image

 

役満

 

終わりに

 昨日まで全然何かしようとか考えていなかったのだがいざ五周年当日となったら思っていたよりも嬉しく、何かしたいな、と思い常々考えていたコンパスのここが凄いよを頑張って言語化してみた。数時間で思ってることをバーッと書いたのでおかしな点が色々あるかもしれない。見つけたら修正します……改めてコンパス五周年おめでとうございます。私が継続して遊んでいる対人ゲームはコンパスだけです。今冬リリース予定のリズムゲームも楽しみにしています。これからも末永く適度にお付き合いしていきたいです。

白瀬咲耶さんと出会ってひと月ぐらい経った

「倞さんは絶対咲耶好きですよ。」そんな風なことを言われた。私が白瀬咲耶さん、ひいてはアイドルマスターシャイニーカラーズと出会うきっかけとなったのはこのフォロワーの一言だった。

 

 流石にインターネットをやっていればアイマスのことを全く知らないということはありえないし、大昔にアイマスのアニメを見たような記憶もボンヤリとある。さらに言うならば私はシリーズの中にシャイニーカラーズという作品があって、白瀬咲耶という顔面好みド直球のキャラクターが居ることまで知っていた。(私情だが、私は『アイカツスターズ!』の如月ツバサ、『Tokyo 7th シスターズ』の羽生田ミトなど、ツリ金目髪暗色ロングヘア高身長の女性キャラクターに非常に弱く、シャニマスがリリースされた頃にTLに流れてきた白瀬咲耶さんのお姿を見て非常に動揺した記憶がある。キャラクターに顔面からハマるの本当にやめたい。)

 しかし2018年当時このゲームをやろうとは思わなかった。理由は覚えていないが何となく食指が向かなかった。アイマスという巨大コンテンツに手を出すことにビビっていたような気もする。ともあれアイマスそのものに対しては“なんとなく知っているバンナムの大きいアイドル作品群の一つ”、シャニマスに対しては“メチャクチャ顔面が好みなキャラクターがいるアイマスの派生作品”くらいの雑な認識で今まで生きてきた。

 

 フォロワーに熱く推され、今特に熱中している作品もなかった私は軽い気持ちでアイドルマスターシャイニーカラーズをインストールした。これがおよそひと月前の事である。

 

 結論から言ってひと月経った現在、私は結構高いモチベーションでシャニマスを遊べている。それはシャニマスの、我々の心を穿つ秀逸なシナリオと、アイドルを“居る”と思わせてくれる細部まで拘った魅力的なキャラクター造形のおかげだと思う。

 その中でもやはり最初にダイマされ、何よりお顔が好みで、『【乙女と交わすTrick】白瀬咲耶』が出るまで運命の出会いガチャを回し、WINGも感謝祭もGRADもLanding Pointも一番最初にプロデュースした白瀬咲耶さんに特に愛着が湧いている。イベントコミュ解放期間(ここを書いている今現在は10月31日。イベントコミュ解放期間も後10日という時期である。)というシャニマス全体を知る大チャンスの中にもかかわらず、途中まで進めた履修を一時停止して、白瀬咲耶さんひとりにフォーカスを絞って一旦シナリオとそれを浴びた自分の感情を整理しなければならないと思うほどには、白瀬咲耶その人にやられてしまっている。

 

 ブログの形式で何かを書くことはこれが初めてなので拙いところも多いと思うし、ひとりよがりな文章になっているような自覚もある。勢いに任せたブログ初心者の備忘録ということで勘弁願いたい。

 白瀬咲耶さんのWING、ファン感謝祭、GRAD、Landing Paint、三峰結華さんのGRAD、『【紺碧のボーダーライン】白瀬咲耶』のPカードのコミュのネタバレを含むので注意。

 

 

 

 

 

 

W.I.N.G.

 シャニマスを始めたユーザーが最初に挑むのがこのWINGだ。私も右も左も分からない新参者としてファン数の稼ぎ忘れによるFランクとかDランクの咲耶さんを量産した苦い思い出がある。

 初めてWING決勝まで行って敗北し、咲耶さんに「負けたのは残念だけど、悔いはないさ」などと言わせた際には自分の情けなさに涙し、アイカツスターズ!アイカツスターズは人生の“やっていき”方を教えてくれる最高のアニメ)86話『涙の数だけ』を視聴して百折不撓の最高のアイドル、桜庭ローラさんの生き様に背中を押して頂き、WINGともう一度向き合う勇気を貰ったりした。

 

 

華麗なる少女

 咲耶さんとの出会いはオーディションではなくプロデューサーによるスカウトだった。当時都内でモデルをしていた咲耶さんをプロデューサーはスカウトし、「私はアイドルらしくはないんじゃないかな」と渋る咲耶さんにプロデューサーは「堂々としていて、自分の魅せ方を知っている。それだけですごい武器になる。」と答える。その返答に咲耶さんは少し逡巡した後に「アナタの私を思う気持ちに、応えたいと思っただけだよ」「私を選んだアナタに興味を引かれたんだ」と、スカウトを了承する。咲耶さんの対人距離感がデフォルトで近すぎて動揺した。

 

親愛なるファンへ

 咲耶さんを象徴するWINGのコミュといえば『親愛なるファンへ』だと思う。TVの撮影もあった日に「ファンの子たちをいち早く喜ばせて上げたい」と夜遅くまでプロデューサーも驚くほどの長文で返事を書いている咲耶さん。彼女の強すぎるファンへの愛と相対的に自分をおざなりにしてしまう気質が伺える。「ファンの子たちは、どうしたらもっと喜んでくれるだろう」という彼女に「咲耶自身が楽しむことが大事だ」と返答した時に聞ける、「人と人との繋がりは美しいからね」という言葉は彼女のアイドルとしての在り方の芯であるように思える。

 

努力と休養

 前述した咲耶さんのファンを愛し、自分を顧みない性質は次のコミュ『努力と休養』で更に浮き彫りになる。その日咲耶さんはファンの期待に応えられるようなパフォーマンスを披露したいと、自主レッスンをし続けて疲労で倒れ、テレビ番組の収録をひとつキャンセルしてしまう。目覚めた後、「ファンを喜ばせる機会を1つ無くしてしまった」と自身が過労で倒れた直後だというのにファン第一の目線で悔やむ咲耶さん。

 その後、「何か頼みがあったら言ってくれ」と言うプロデューサーに「もう少しだけ……ここに、いてくれないか」「いまはそれが一番嬉しいな……」と返す。

 初見でこのシーンを見た時は咲耶さんにも誰かに寄り添って欲しい時があるんだな……程度に思って読んでいたが、後に読んだアンティーカの感謝祭コミュやTrue研修報酬で頂いたP-SSR『【紺碧のボーダーライン】白瀬咲耶』のコミュ『ひとりぼっちの21時』を読んで、彼女が父子家庭の育ちであるということ、その父はいつも夜遅くまで働いているため結果彼女が家で一人寂しく父の帰りを待つことが多かったこと。そういった過去の経験から一人の時間が苦手で、だからこそ他人を理解し、愛したいと思い行動するという彼女の本質に触れた後に読むと、白瀬咲耶が弱った時に最も求めるものが他者が傍にいる温みであるという事実に頭を抱えてしまう。

 

これからも隣で……

 WING優勝後、彼女はアイドルになる前、自分のモデルとしてのあり方に疑問を持っていたということを話してくれる。

 

「モデルはトップに近づくほど、孤独に近づいていく」

「その孤高さは美しくもあるが、私の肌には合わないと思っていた」

 

 確かに他者と繋がりを持つことを愛する彼女に孤高のトップは似合わない。だからこそプロデューサーと出会い、アイドルにスカウトされたことは奇跡だったと語る。アイドルの歌やダンスやトーク、笑みのひとつに至るまであらゆる表現に乗せた熱がファンに伝播し、ファンの熱意ある応援がまたアイドルの熱量になる。ファンとアイドルの思いの循環、通じ合いの循環はアイドルの本質のひとつだ。それは、人と人、“私”と“キミ”の繋がりを愛する咲耶さんにとっては理想の関係性なのかもしれない。

 

 

 

 

ファン感謝祭

 咲耶さんをプロデュースアイドルに選択した状態で初見でアンティーカシナリオを読んだため、ファン感謝祭もWINGと同じようにキャラクター事に個別のシナリオがあるのかなとしばらく勘違いしていた。

 

球体なる海に両手を広げ

 結構な枚数あるサイン色紙一枚一枚のメッセージを変えることを提案。ファンサービスをサービスという意識なく行えるほどファンのことを考えている。それはプロデューサーの「咲耶にとって心を込めるのは自然なことなんだな」という言葉に「私そのものと言ってもいいかもしれない」と答えるほど。心を込め、ファンに愛を届けることを自分そのものと語る。

 

「――私は世界を愛している……

世界のあらゆるものを喜びで満たしたいんだよ」

 

 

ミユア・ノ・レゾレソ

 ソロでの仕事が増え感謝祭の話もできないほど多忙なアンティーカの面々の様子を見て独りごちる「忙しいのは良いことだ……」 誰に言うでもなく、自分を納得させるためだけの言葉。

 きっと咲耶さんは昔から、父親が仕事で忙しく帰ってこられない時などに、「これは仕方のないことなんだ」と、自分の中の“一緒に居たい”という幼心を大人びた諦観の言葉で心の奥底に押し込み気付かないふりしながら生きてきたんだろうな、と一言で解らせられる決定的な台詞。物分りが良すぎる、器用すぎるが故の己への気持ちへの不器用さが伝わってくる。

 個人的にはこの直後の会話や以降のコミュでも時折ある三峰結華さんとの会話がかなり好き。人との距離感や他人の感情の機微に敏感な人間同士が相手の触れられたくない一線を避けつつなんとか内面を引き出そうと、核心の端に触れるか触れないかの遠回しな言葉でラインを探りながら話している感じがたまらない。

 

デイナ・シイ・パンシ

 感謝祭ミーティングでアンティーカが久しぶりに揃うからウキウキになっていたりユニットメンバーが揃った空間を「あたたかい空気」と形容するほど本当にアンティーカのことが大好きな咲耶さんの描写……

 「私たちは大丈夫。心配しないでほしい」、これもまた二人へのメモという形ではあるが、同時に自分に言い聞かせた言葉でもあるのかなと思う。

 咲耶さんにしては“らしくない”メモにプロデューサーも疑問を抱いているし結華さんに関してはこの時点で咲耶さんが何らかの問題を抱えているとほぼ分かっている様子だが、その上での「『大丈夫』って言ってる間は、信じてもらえた方がありがたいじゃん?」である。例え本当はそうでなかったとしても、本人が大丈夫であると言っているうちはそれを尊重しておきたいという考え方は普段から他人をよく見ている結華さんらしい答え。

 

モテク・ナデ・ココ

 カフェの店員さんをナチュラルに口説く咲耶さん。これが通常運転なのだから恐れ入る。

 

「やっぱり、直接じゃないと違う? さくやん、たとえば……寂しかったりする?」

「……いや……そうだね 少しだけ寂しく感じることもあるよ」

「けれど、こうしてたまに会えるだけで、すぐさま元気になれるんだ」

「だから平気さ」

 

 核心にわずかに触れる結華さん。寂しさを認めつつも自分はこうしてたまに会う時間があるだけで大丈夫と言う咲耶さん。この「平気」が強がった建前などでなく間違いなく咲耶さんの本心の一つであるのが本当に怖い。寂しい、けれど、平気。自分の内側の傷に無自覚な人……

 この後結華さんに「最近のバラバラなアンティーカについてどう思う?」と問われた際も少し口ごもった後に「みんなが認められて、輝いて、愛されているということだろう?」「私にとってそれ以上のことはないよ」と答える。現状に肯定的で優等生な回答。確かに皆が愛されていることも咲耶さんにとっては嬉しいことなのだろうが、咲耶さん個人の抱えた寂しさは排されてしまっている。

 

 場面が変わって夜の事務所。「アンティーカとしての活動がなくてもみんなは困らないんじゃないかな」「……彼女たちが輝けるのなら」「きっと、それは、『ここ』じゃなくたって――」実際にそうなったら自分がすごく傷つくくせに、皆のことを考えすぎて自分にとって大切な『ここ(アンティーカ)』がなくてもいいものじゃないかと考えてしまっている。

 

ねえ、アンティー

 今まで引いていた一線を踏み越え、直球で咲耶さんが心配だと伝える結華さん。「私たちの前ではいつも笑顔だよね じゃあいつ泣いてるの? 一人で泣いてるの?」何度読んでも心臓がギュッとなる。普段ならばこういった他者に踏み込む発言を徹底的に避ける結華さんにここまで言わせて尚返答は「……すまない……なにか……なにか私は結華を困らせているんだね……」である。自分の痛みに鈍感すぎる。

 

 程なくしてプロデューサー及び恋鐘さん達残りのアンティーカのメンバーと合流。「考えとることあったら……言わんばよ?」と言う恋鐘さん。『モテク・ナデ・ココ』で咲耶さんの考えを聞いてしまい、気にしながらも自分が干渉するべき問題かと考え、すぐには他二人に話せなかった摩美々さん(二人の元へ行く道中で転んだ自分のことを案じる恋鐘さんに「……その暑苦しいとこ……誰かさんみたい……」と感じ“誰かさん”みたいな恋鐘さんには話すべきだと判断し咲耶さんのことを話し始めるシーン本当に好き)や、ここまで散々書いてきた咲耶さん等、アンティーカは外目にはそうとは見せずに他者と自分の間に思慮で一本線を引いてしまう人が多いのでその一線を軽々飛び越え傷に優しく触れられる恋鐘さんの存在が眩しい。

 恋鐘さんに言われても「悩みなんて本当になにも無いんだ」「私がなにか誤解を招いていたのだとしたら……すまない、迷惑をかけて……」と申し訳なさそうにする咲耶さん。自分がずっと悩み、考えていることを、頑張ってる皆に迷惑をかけてはいけないと自分の中だけで無理矢理消化して完結させて、「悩みなんてなにも無い」と言う、咲耶さんの私的な感情に人を巻き込みたくないというその優しさから自然と身につけてしまったであろう必要以上の気遣いが見える。

 

「みんなが……アンティーカに戻ってこなかったとしても……」

「喜んで応援しなくちゃって……」

 

 幼少の頃、多忙であまり家に居なかった父との記憶と、仕事が増え一緒に居られる時間が減ったアンティーカの面々を重ねる咲耶さん。幼かった彼女にとって父が帰ってこないことは仕方のないことで、自分が寂しさを我慢すれば我慢すればいいことだったから、きっとユニットのことも同じように思ってしまったのだろう。自分が寂しさを我慢すればいい。仕方のないことだから。忙しいのは良いことだから。

 咲耶さんの独白の後の結華さんの「――ねえ、自分が誰よりも一番、アンティーカを大事にしてると思ってた?」「信じられなかった?」が本当に重い。

 白瀬咲耶の愛は白瀬咲耶の認識の中で基本的に一方的なものだ。自分が愛する、愛しているという感覚が強く、相手から愛されるという発想が薄い。感謝祭一番最初のコミュ『球体なる海に両手を広げ』で世界を愛しているとまで豪語した人間が、愛した世界に自分が愛されることがあると想定していないのだ。

 与えるだけ与えて受け取らない(受け取れない)その姿勢は、傍目から見れば相手を信頼していないとも取れる。この一方向の愛がユニットに向けられた結果が「自分はアンティーカという居場所を愛している。しかしみんながソロで躍進していくならばこの場所がなくなっても仕方がない」という思考で、実際の所は、このシーンの後に霧子さんが明言するように他のメンバーにとってもアンティーカは大切な居場所なのだが、咲耶さんはそれに気づけていなかった。

 自分が愛されていることに自覚的になれないのと同じように、自分にとっての大切なものが皆にとっても大切なものであるという視座がない。それは乱暴な捉え方をすれば、皆の大事なものを貶しているとも取れることだ。そりゃまあ結華さんも怒る。(ここの構造、結華さんがGRAD編で自己評価の低さから自分を低く見積もりすぎて「今の三峰を否定することは、三峰を応援してくれてる人たちを傷つけることになる」と言うプロデューサーと衝突した一件と少し似ていて、ど、同族……という気持ちになる)

 

――うん、アンティー

 『ミユア・ノ・レゾレソ』と対になったコミュ。前述コミュのものと全然違う、本当に嬉しそうな声色の「忙しいのは良いことだ……」で泣く。

 

セントエルモの火を見上げ

 

「でも……今回学んだことによると、相手の気持ちは素直に受け取るべきなんだ……」

「私も……つい遠慮してしまったりするけど……」

「一方的に与えようとするのは……みんなに失礼なことだとわかったから……」

 

 咲耶さんは思慮深い。それは『特技:自分を最大限カッコ良く見せる立ち振舞い』というプロフィール表記(多分自己申告)や『球体なる海に両手を広げ』でファンのためにサイン色紙一枚一枚に異なるメッセージを書こうと提案したこと、過去の握手会で予定時間を大きくオーバーしたという話から伝わってくる。相手の“求める気持ち”を感じ取り、応えることが自然と出来る。しかしそれが己に“与えられる気持ち”になった瞬間に咲耶さんはそれをうまく受け取ることが出来なくなってしまう。内心では他者からの愛を誰よりも求めているというのに。

 今回の感謝祭でアンティーカのメンバー達に心の奥底に押し込んでいた本心に触れられ、アンティーカを愛しているのは自分だけじゃない、メンバー全員が自分の居場所としてのアンティーカを愛している。だから解散なんてありえないという、直接聞けばすぐにわかってしまうようなメンバー全員の本当の気持ちに遠大な道のりをかけてたどり着き、「相手の気持ちを素直に受け取る」という意識が咲耶さんの中に芽生えたのが本当に嬉しい。白瀬咲耶はその身を削り人々を満たす幸福な王子ではないのだから、人を愛し、人に愛されて然るべき一人の人間なのだから。

 

 プロデューサーの「咲耶が誰かを愛するように、……咲耶も、愛されていることを忘れないようにな」という言葉。いや本当にそう……

 

 

 

 

G.R.A.D.

 人との繋がりを尊ぶ咲耶さんに「でもお前が自分の意思で切り離した繋がりがあるだろう?」と突きつけてくるシナリオ。本当に怖い。

 咲耶さんは意外と無茶をする人だ。自分の関わったすべての人間を常に喜ばせていたいという、実現不可能な遠大な理想をあくまでも自分のワガママと語った上で、本気でやってのけようとする。一人も取りこぼさず、皆を愛したいから。それが後先を考えていない無謀な選択で、どうしようもない自己満足の綺麗事と自覚しながら、それでもこれが今の私の最良であると胸を張り、全てを抱えながら自分で選んだ荊の道を歩み続ける。その姿を、とても美しいと思う。

今が、未来になる

 公開オーディション『GRAD』参加を楽しみにしている咲耶さん。「きっと私も気づいていないような私の新しい面を見つけてもらえるだろうからね」と、ファンに新しい自分を見つけてもらえることが楽しみな様子。

 

ラブレター・フロム

 

 『モデルの頃の咲耶様に、戻ってほしいです』

 

 プロデューサーが除けようとした手紙を、除けるだけの理由があるとわかった上で読ませてほしいと言う咲耶さん。ファンに誠実な人……

 モデルだった頃の、『咲耶様』のファンからの手紙。アイドルの白瀬咲耶がモデルの頃のイメージと全く違う。元の『咲耶様』に戻ってほしいという内容。当然ファン思いの咲耶さんは自分が切り離してしまった、取りこぼしたファンが確かに存在するという事実を改めて突きつけられショックを受ける。それでも彼女は言うのだ。

 

「でも、大丈夫 私は大丈夫だよ、プロデューサー」

「モデルを辞めたのも、アイドルになったのも、――そしてここにいることも」

「全部、私が決めた道なんだから。」

 

過去は、今にならない?

 自分がアイドルになる道を選択したことで切り捨ててしまった人とのつながりがあること、そして切り捨てたのは他ならぬ自分自身であるということに思い悩む咲耶さん。自分のことを「優柔不断でわがまま」と言う。

 モデルからアイドルに転向すれば仕事も変わり、ファンの目線から見える白瀬咲耶像も変わる。そうなれば「今までと違う」と言い離れていく人も、新しくファンになる人もいるだろう。それはある種の代謝のような、当たり前のことだと思う。しかし、白瀬咲耶にはそれを当たり前のことと簡単に割り切ることが出来ない。優柔不断でわがままだから。自分が手に入れたものをひとつもとりこぼしたくないから。

 

「けれど、切ったのは私なんだ」

「彼女と、私を繋いでいたモデルとしての『白瀬咲耶』――」

「それを切り捨てたのは、ほかならぬ私自身さ」

「だから私には、感傷に浸る権利なんてない」

 

 感傷に浸る権利はないと己を断じる咲耶さん。その自覚がなかったとしても、自分の選択が、確かに自分とつながっていた人を切り離してしまった。自分の中ではつながっていると思いながら歩んでいた道が、誰かにとっては断絶であった。人と人との繋がりを愛する、自分のファンを愛している白瀬咲耶にとってそれはどれだけ苦しいことなのだろうか。

 

過去/現在⇒未来

 モデルの頃の自分を否定したくないとしながらも、それだけは寂しかったと言う咲耶さん。WING優勝コミュでも言っていたように、人との関わり合いを愛する自分が、孤高の存在であるモデルを続けることに疑問と寂しさを感じていた様子。そんな時期にプロデューサーからアイドルにスカウトをされ、自分も変われるかも、近寄りがたい『咲耶様』から、親しみやすい『白瀬咲耶』に変われるかもしれない。そう思いスカウトを受けたと語る。

 そして実際に白瀬咲耶は変わった。モデルを辞め、アイドルの道を選んだ。その道の先でかけがえのないユニットのメンバーや事務所の仲間たち、そして多くのファンと出会った。その選択がモデルの白瀬咲耶と、モデルの白瀬咲耶を愛していた人たちを切り捨てる行為だったということに気づかないまま。それを目の当たりにし、どうしようもないほど悔いている。

 

「だけど……私は何をすべきか、わからなくなった」

「何をすれば、誰も悲しませないのか 全ての人を喜ばせることが出来るのか――」

 

『誰も悲しませない』 『全ての人を喜ばせる』、白瀬咲耶はそうしたいと言う。だからモデルとしてのファン達を切り離してしまったと気付いた時、何をすべきか、わからなくなってしまった、と。私は、白瀬咲耶のことをどこまでも澄んだ人だと思う。それはもう怖いとすら思うほどに。出会った人間、関わった人間を全員愛し、尊いとする心。そうして出会った人間を一人たりとも取りこぼしたくないと心の底から思っている、極めて純で、しかも底なしの、他者への愛を彼女は常に抱いている。

 前述した通り人の関心など流動的なものだ。仕事が変わってファン層が変わることなど正直普通のことだと思う。しかし、白瀬咲耶にとってはそうではないのだ。流動の中、層の中の小さな一人一人を見つめようとしている。一人がいなくなることに本気で心を痛める。アイドルという、多数のファンと関わり合う仕事でそんな姿勢を本気で取り続けられる人がいるだろうか。

 ここで自分/プロデューサーに選択を要求してくるのがが本当に心憎い。どの選択肢でも「白瀬咲耶はどうやっても白瀬咲耶でしかないのだから、自分らしくあれ」というニュアンスの話であることには変わらないのだが、思い悩む咲耶さんにヒントを与えるのが恐れ多くも自分であるという事実にそういえばこれアイドルプロデュースゲームだったわ……ということを思い出した。個人的には「咲耶の魅力を知ってもらおう」を選択した際のプロデューサーの「咲耶にはたくさんの魅力がある、ひとつだけに決めたら勿体ないだろ?」が一番好き。咲耶さんのひとことでは表せない多面的な魅力、知ってほしいもんな……

 

かつての私が望んだ先を歩く

 

「フフ、私の選択はいつも最良だよ 私はいつも、最良の選択をしてここにいる」

「誰もが、瞬間ごとの最良を選び続けて……そうして私たちは出会った」

「そう思って生きている……生きていたいと、思っている」

 

 自分は常に『最良』を選んで生きてきた。アイドルの道を選んだことも、モデルの頃の白瀬咲耶のパブリックイメージとは全然違う、様々なジャンルの仕事を全て受けていることも、その全てが瞬間瞬間の最良を選んだ結果だと、咲耶さんはそう言う。

 白瀬咲耶の選んできた道、それがいつも最良ならば、その『最良』の中にはモデルであった過去も入っているはずだ。モデルとしてファンにかっこいい『咲耶様』を魅せていた時間、それもその瞬間においては最良の選択であった。自分の生きてきた道、その全てを『最良の選択』と肯定するその考えは、あらゆる瞬間の白瀬咲耶を愛していたファンを肯定することにもなる。モデルであった過去にはもう戻れない。けれども過去を必要な道、最良の選択のひとつであったと胸を張って今、肯定することは出来る。

 

「私を好きになってくれた人たちは、とても嬉しい言葉を私にくれた」

「私はワガママだからね、その中でどれかだけを選ぶなんてことは、できないんだ」

「だから――だから、私は、そのすべてに答える私でいたい」

「かっこいい、でも、綺麗、でも。可愛い、でも。素敵、でも。面白い、でも」

「ひとが私に求めるものすべてに、私は応えよう――そう、思うんだ」

 

 『ひとが私に求めるものすべてに応える』そんな途方もない理想を、綺麗事だと、いつまでも続けられるやり方ではないと断じながらも掲げる。

 白瀬咲耶は本人の言うとおりワガママで、そのうえすごく欲張りな人だ。アイドルとなり、様々な切り口から様々な姿の白瀬咲耶を皆に見せ、ファン達が白瀬咲耶に見たすべてのイメージに応えようという。それは、すべてのファンを喜ばせたいから。本気で。一人残らず全員を。『白瀬咲耶』というたったひとつの体と心で、白瀬咲耶を愛してくれた無数の人間の期待、そのすべてに答える自分で居続けると言うのだ。当然そんな無謀な姿勢が長続きするはずがない。絶対にやがては破綻する理想だ。その上、その無謀を成したからといって過去の、『咲耶様』のファンが帰ってくるわけでもない。それをすべて理解した上で、『今の自分にとって最良の選択』と言い過酷な道を選び取る。

 プロデューサーも咲耶さんの無謀に付き合うという。自分なりの最良をもって、咲耶さんが後悔しない、今の咲耶さんにとっての最良の道を進む手助けをすると。それはいつか来る破綻までの道を舗装する、共犯者の宣言だ。これをアイドルのプロデューサーとして正しい選択だとは思わない。理想論の先に見える破綻を知りながらそれでも真っ直ぐに進ませるなどどうかしている。けれども、ワガママな『白瀬咲耶』のプロデューサーとしてはどうしようもなく最良の選択なのだろう。

 

決勝後コミュ 勝利

「必死すぎてしまっていただろうか がむしゃらになど、ならない方がよかったのだろうか」

 モデルだった頃に求められていた、完成し、洗練されたかっこいいイメージとは明らかに違う、必死で、がむしゃらに、勝利に向かって自分の持つすべてを見せ、手を伸ばす姿。それでも、舞台に立つ白瀬咲耶はその瞬間、誰よりもかっこよかった。

 

ラブレター・ディア

 ファンレターの中に『彼女』からの手紙がなかったかを聞く咲耶さん。「都合が良すぎるだろうね」「彼女の願いに何も応えられていないのに、また手紙を送ってきてほしいと思うなんて」と言いつつも、いつか、また、彼女と自分が繋がることを願っている。

 

「……道はひとつではないんだ 色んな道を進むのも、また楽しいよ」

「どんな道を選んでも……きっと最後は望む場所に、たどりつける」

「私の選択は、きっと最良だよ」

 

 その道が最良であったかどうか、それは、到達した後に来た道を振り返ることで判断できるものだ。しかし白瀬咲耶は歩みながら、常に今いる『ここ』が最良であると自分の道のりを肯定し続ける。その道がどれだけ過酷であろうとも。

 

 

 何度も言うが私は白瀬咲耶のことをすごく欲張りな人だと思っている。人との繋がりなんて不明瞭なもの、自分の置かれた立場の変化や時間の経過、そのほか無数の内的、外的要因で容易に変わってしまうものだというのに、自分の手に入れた繋がりをひとつもこぼしたくないと言い、そのために、来たオファーはすべて受けようとするし、ファンが感じた白瀬咲耶へのあらゆる印象、そのすべてに身一つで答えようとする。そして、出来ることならモデル時代の『咲耶様』のファン達のことも取りこぼさず掬い取りたいと思っている。自分を愛してくれた人のことを一人残らず愛したいのだ。この人は。そのためならどんな無茶でもやってしまえる。そこが彼女の危ういところであり、同時に『アイドル・白瀬咲耶』をどうしようもなく魅力的にしている美点であると思う。

 

 

 

 

Landing Point

『ひとが私に求めるものすべてに応える』アイドル、白瀬咲耶の新しい決意。

 新参にわかユーザーなのでシナリオをきちんと読んでLanding Pointまで来ているのが咲耶さんしかいないのだが、遊ぶたびに本番ライブのFever Time時の「ああ……!まぶしいな……!」でバッチバチに泣いている。

 

私を中心に世界を回したのだから

 

「――振り返れば 私はずっと、変わっていない」

「――いつだって、自分のために選択している」

「誰かが喜んでくれることを 誰かが望んでくれることを」

 

 白瀬咲耶の今までの選択は、全て自分のためだという。献身的に他者の期待に応え続ける行為も、たくさんの人と繋がり、自分が寂しさを感じないためだと。そして選んだモデルの道で孤独を感じ、アイドルになる選択をした。その選択によって生じたかつて繋がっていた他者との断絶をGRAD編で知り、「自分のためなら誰かを切り捨てることだってできてしまう」と己を評する。そんな自分だからこそ、常に自分の選択は最良であるということをその身で、在り方で示そうとする。それが、自分が切り捨てた、自分に振り回された人たちへの最低限の誠意だと思うから。

 こういう言い方をするのは性格が悪いが、本当に自分の寂しさを埋めるためだけに行動しているというならいつの間にか離れていった他者など気にせず、今の繋がりのみを暖めていれば良い。しかし当然ながら白瀬咲耶にそんなことは出来ない。誰とも繋がれない孤独を知っているから。その痛みが理解できるから。だからこそ自分が切り離し、自分の手で傷つけてしまった他者がいるということに心を痛め、もう手遅れかもしれない、もうその人たちの目には自分など映っていないかもしれないとわかりながら、自分の見せられる最低限の誠意として、どんなに傷つこうと悩もうとおくびにも出さずに自分の選んだ道を肯定し続ける。

 とことん不器用で誠実な人だ。自己満足のためと言いつつもその『自己』は自分と関わる/関わった全ての他者のことも満足させなければ満たされない。

 

愛、ならば

 

「――『愛』だよ」

「『期待』ももちろんある。でも、それと同じくらい『無理はしないで』って思いとか、『大好き』って思いとか」

「たくさんあると思うんだ!だから全部ひっくるめて『愛』」

「ひとつだけしかもらえないんじゃ、もったいないしな 全部拾えるやつにしよう」

 

 アンティーカのワンマンライブをたくさんの人が応援し、期待してくれていることに喜びを感じている咲耶さん、そしてその咲耶さんが受け取っている感情は全て包括して『愛』であるというプロデューサー。ここのやりとりが本当に好き。

 「ひとつも取りこぼしたくない」白瀬咲耶の感情に、「全部を拾える」言葉で名前を与える。さすがここまで連れ添ってきた白瀬咲耶のプロデューサー。白瀬咲耶の感情を汲むのが上手すぎる。

 

少女と魔法使い

 番組の応募企画で当選した小学校の下見に行く咲耶さん。そこでたった一人、迎えを待つ少女を見つけ、話しかけに行く。少女の姿とかつての自分を重ねての行動。

 

「……お姉さんも、きっと ずっとはいてくれないでしょう……?」

「そしたら、もっと――…………」

 

 一時の寂しさを埋めてもらっても、白瀬咲耶は永遠に少女と一緒に居ることは出来ない。一度出会って分かれたら、次に一人になったときに一緒に居た時間を思い出して更に寂しくなってしまう。少女はそう言う。しかし、白瀬咲耶はアイドルだ。物理的にその場にいなくても、永遠の思い出を、心の底に広がる温みを、他者に与えることが出来る。

 

「……お嬢さん、信じてみてくれないか」

「実は私、魔法が使えるんだ」

 

with you

「――小さな天使たち、楽しんでいるかい?」

「ありがとう どうかそのまま、めいっぱい楽しんでほしい」

「そしてよかったら――キミたちの思い出に、私たちを住まわせてくれ」

「キミたちが会いたいと思ったその時に何度だって出会い、繋がろうじゃないか!」

「私たちはそのためにいるのだから」

「……どうか、この魔法にかかってくれますよう」

 

 人の記憶の中には世界で唯一、永遠が存在する。『ライブを、歌い踊るアイドルを見た』という輝かしい思い出は、受け取った当人がそうであれと願えば永遠に残り続ける。そうしてライブから輝きを受け取った人々の記憶の永遠の中に、アイドル・白瀬咲耶は息づき、いつでも、何度でも繋がることが出来る。それが白瀬咲耶の、アイドルの使える魔法。他者との触れ合いを愛し、孤独の傷を知る少女が手に入れた、誰かの傍らに寄り添い続ける優しい魔法。

 「かかってくれますよう」と、祈りで締められているのがまた良い。魔法使いにできるのは全身全霊をかけて作り出したアイドルという像を持ってして最高の瞬間を見せることだけで、その魔法にかかるか否かは受取り手の感性に委ねられている。この魔法は不安定で脆い。だから彼女は祈る。どうか、自分を見た人たちが、永遠の温みを与えてくれる魔法にかかってくれるようにと。

 かつて自分をスカウトし、皆に愛される『アイドル・白瀬咲耶』にしたプロデュサーのことを魔法使いと呼んだ彼女自身が、人々の心に喜びを与え、寂しさを忘れさせる魔法使いになったという構図が本当に美しすぎる。

 

 

「けれどその上でひとつ、やりたいことを見つけた」

「この間あの子を前にして強く心が動いたことで気付いたんだ」

「『ひとが私に求めるものすべてに応える』……それと同時に」

「私を求めていない人、求めることができない人にも寄り添いたい」

「アイドルになって私は、きっと――」

「――……寂しがっている誰かの、支えになりたいんだ」

 

 白瀬咲耶の新しい決意。かつての自分のような、あのときの少女のような、寂しさを感じ、孤独の泥中に沈み誰かに助けを求めることすらできない人にも寄り添う、そんなアイドルでありたいという。

 白瀬咲耶の選択が好きだ。彼女は「自分のための選択」だと言うけれど、人の笑顔が好きな彼女の選択は、常に多くの人を喜ばせるものだった。彼女を求める人が伸ばした手を微笑んで取り、喜んだ相手を見て自分も喜ぶ。どこまでも純な優しさ。そして今、その優しい手を、白瀬咲耶を求めることができない人の元まで差し伸べようとしている。

 『頑張れ』でも、『負けるな』でもない、ただただ傍に寄り添い、『分かるよ』と言ってくれるような、同じかたちの傷を見せてくれるような繊細な優しさは、白瀬咲耶が白瀬咲耶として今まで歩んできたからこそ与えられるものだ。

 

彼女の魔法使い

 『アイドル』を選択し、それを最良の選択として真っ直ぐ進んできた白瀬咲耶への小さなご褒美。本当に好きなコミュ。

 前回ライブをした小学校の生徒達からアンティーカ宛てに手紙が届く。その中にはあのときの少女からの手紙が。

『お姉さんのライブを思い出すとひとりでいる時でも、楽しくなれます』

『お姉さんがまほうをつかえるって言った時、私はそんなことないって思ったけれど』

『お姉さんは本当に、まほうが使えるんですね』

 白瀬咲耶の魔法が、届くべき人に間違いなく届いたということ、その証明。咲耶さんの、アンティーカのライブが、その場にいた多くの小学生たちを喜ばせ、そして一人の孤独な少女に魔法をかけた。

 咲耶さんの選択した道の先で、咲耶さんと出会ったことで救われる人間は確かにいて、そしてこれからも現れ続ける。それでも彼女は切り捨て、傷つけてしまった人たちの存在を悔やむし、それを一生忘れず、いつかまた道が重なることがないかと切に願ってしまえる。そこは彼女の傷であり美点でもある。しかし、『選択をし、ここまで来た』白瀬咲耶だからこそ救える人間も確かに存在する。白瀬咲耶の選んできた道は、最良だ。

 

 咲耶さんに「アナタのおかげで見つけられたんだ」「アイドルでいたい理由をね」と言われたときのプロデューサーの「俺なんかにもったいないとも思うけど――」という反応を見たときの咲耶さんのちょっと怒ったようなジト目が本当に良い。「相手の気持ちは素直に受け取るべき」だもんな……

 

ライブ一曲前コミュ《個人》

「……アイドルとは、双方向なんだね……」

「私は、今日をお客さんたちの最高の思い出にしようと思っている」

「けれど、それは同時に――私にとっての最高の思い出にもなるんだ」

「……なんか、改めて実感してしまって」

 

 アイドルとファンの双方向の関係。アイドルの熱がファンに伝播し、それを受け取ったファンの応援の熱がまたアイドルの薪となり熱となる。そうして相互に思い合うファンとアイドルの両者に最高の思い出としてライブが刻まれる。“私”と“キミ”の繋がりあいで満たされる。それは咲耶さんにとっては願ってもない最高の関係だ。彼女はアイドルであることを指してこう言う。

 

「何しろ、私に向いている場所だからね」

 

ライブ三曲前コミュ《個人》

「ああ、プロデューサー……今日の私は、どう見えているかな?」

「綺麗なお姫様に、かっこいい王子様に、愉快な人気者に、孤高の咲耶様に――見えているかい?」

 『ひとが私に求めるものすべて』それに身ひとつで応える咲耶さん。その姿を見て、「俺には、最高のアイドルに見えるよ」と全てを包括した言葉で返し、舞台に送り出すプロデューサー。ワガママで欲張りな咲耶さんのワガママを全て通すとしたプロデューサーの返答としてこれ以上の賛辞があるだろうか。

 

ワガママの先で

「――病める時も、健やかなる時も」

「この先きっと、どちらの私でも『アイドルでいたい』という思いは変わらないと思ったんだ」

「私にとって、これはそういうものだと――今回改めて、知ることができた」

「……――きっとまた、悩んでしまうだろう 置いてきてしまった誰かのことを考えて」

「……でも、それでも――」

「――晴れやかな気持ちなんだよ、プロデューサー」

「私は、寂しがっている誰かの支えになりたい」

「そんな私と、出会ってほしい 繋がってほしい」

「そう願ってやまないんだ」

 

 その心に負った傷も、誰かに負わせてしまった傷のことも、全部忘れず抱えてアイドルとしてあり続ける。そうしてアイドルとして生きていく中で自分と関わったたくさんの人たちに笑顔になってほしいと願い、寂しがっている人にぬくもりを与えたいと祈り、あまつさえ過去に取り零してしまった人のことも、再び掬い上げたいとする。どこまでも優しくて、それでいて欲張りな人。

 彼女の自分勝手が、寂しさを感じないための選択が咲耶さんをアイドルにした。そしてその『アイドル』という在り方は咲耶さんにたくさんの人と繋がれる方法と、孤独の中で苦しんでいる人を支える魔法を与えた。それらは孤独を恐れ、人を愛する咲耶さんの心の中にぴたりと収まり、いついかなる時でもアイドルでいたい、そう思えるものになった。

 白瀬咲耶はアイドルに向いている。大きなステージからたくさんの人を一人一人見つめ、皆の期待に応え、笑顔になった人々を見て自分も笑顔になる。その姿を電波に乗せて発信して直接出会えない人とも繋がり、孤独を忘れさせる手助けをする。アイドルとなった彼女が差し伸べる手は、どこまでも伸びる。これからも彼女はアイドルで、たくさんの人と繋がり、寄り添い続けるのだろう。その当たり前の事実が、とても嬉しい。

 

 

 

 

後書き

 WINGからLanding Pointまで振り返り、まあいけるっしょ!くらいの軽い気持ちで書き始めたら思ったより難航して恐ろしく時間がかかってしまった。表題を『ひと月経った』としたのにダラダラと書いているうちにふた月目が終わろうとしている。自分の計画性の無さを痛感している。

 読み返してみても結構粗というか文体のまとまりのなさみたいなのが見えてきて結構恥ずかしい。感情を思ったままに言語にして表現すること、難しすぎる。

 メインストーリー以外にも咲耶さん周りで好きなコミュはたくさんあるし、コミュの感想以外にも初めて【咲耶と摩美々のぶらり旅】を引いたときにあまりの絵のパワーにマジでデカい声が出ただとか始めたタイミンクがちょうど【渦と淵】ガチャ開催期間中で何回か回したらビギナーズラックでスルッと来てくれたりTrue研修で【紺碧のボーダーライン】を選択して運命の出会いで【乙女と交わすTrick】を選んでよし、恒常は後一枚だなと思っていたら3.5周年無料ガチャでスン……と【幸福のリズム】が出て恒常が揃い、最初においしい思いさせて後から搾取しまくるタイプの詐欺……?と確率を疑ったりだとか唯一LP育成が終わっている咲耶さんがフェスツアーズでメチャメチャ働かされていた(働かせているの私だが)とかいろいろなことがあったがそれを書き出すと本当に終わらなくなるのでこのブログはメインストーリーだけに触れて終わりにしようと思う。ここまでド素人の感想文を読んでくださった方は本当にありがとう。

 

 最初に書いたとおり、私はメチャクチャな面食いだ。キャラクターの見た目にハマる→人格を好きになるという流れを繰り返しすぎて本当に自分はこの人が好きなのか?顔が好きだから性格も全肯定してしまっているのでは?と時折不安になる。実際咲耶さんも最初に惹かれたのは顔だ。それは覆しようがない。それでも、私が見てきた彼女のアイドルとしてのあり方を、その身から溢れ出る大きな愛を、己を貫くため選んだ道の遠大さを、それを見てもこの道が最良とし、凛とした顔で歩み続ける美しい姿を、孤独な他者に寄り添えるアイドルであろうと決心した優しい心の根を、彼女の魔法にかかった人間の一人として、一度こうして自分の言葉で書き出すことで、自分の中の咲耶さんが好きだという気持ちが本物だと他でもない自分に証明したい。