犬魚倞のブログ

犬魚倞(いぬざかな りょう)です。倞が変換で出てこないと思うので犬魚でいいです。頑張ります。

【#うたミル】第2話感想 2話でタイトル回収するオーディオドラマが無料!今すぐ見ろ!!

 

 犬魚倞です。【うたミル】の感想書いちゃおっかなブログ、第2話です。今現在2022年7月15日、うたミル#2投稿日から49日経過、うたミル本編は4話まで更新されております。どうすればいい?

前書きです

こちらのブログでは「アカペラ」をテーマにキャラクターと声優陣の成長を共に描く音楽プロジェクト【うたごえはミルフィーユ】(略称【うたミル】)の第2話を見ての私の感想を書いていきます。もちろんネタバレが含まれますので2話未見の方は2話を、完全初見の方は是非第1話、2話を視聴してからご覧ください。うたミルは1話12分前後のボイスドラマなのでとても気軽に見られますのでこの機会にでも是非ご覧になってみてください。メインキャラクターが揃う前にタイトルを回収する高速展開に置いて行かれるなよ。

 

1話

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2話

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【2話雑感】小牧嬉歌、歌にだけは真摯

 

 第2話、ウタちゃんがアイリ先輩に籠絡されアカペラ部の部室に向かうところから始まります。

 

「ウタちゃん、私のことは別に怖くないでしょ?」

「あっ、はい! お美しく私なんぞとは住む世界が違うなとは思いますが、とっても優しそうなのでギリギリセーフです」

「うちの部活、優しい人しかいないからきっと大丈夫だよ」

 メチャクチャ嘘じゃん。

 この時点でアカペラ部にはムスブ(レイレイ先輩曰く“威圧感持ち”)がいるので完全に嘘ついてるじゃん。今のところの情報だと『何だかんだ優しいから……』とかでもないじゃん。会話の第一声のはぁ?率異常ななんにでも噛みつく狂犬じゃん。その情報を伏せて口八丁手八丁でコミュ障卑屈主人公をぶち込もうとする特技『人心掌握』の女、普通にヤバい。

 

 しかし我らが最強卑屈主人公、ウタちゃんも負けじとヤバい。アイリ先輩の甘言に絆されることなく尚卑屈さを発揮する。

 

「……本当にそうでしょうか」

「一定数の人間が集まれば、そこには必ず支配するものと支配されるものが自然と生まれるものなのです……」

「アイリ先輩が強者というだけで、私のようなネズミが迷い込んだ瞬間に獣たちはその獰猛な本性を剥き出しにするのではないでしょうか……」

 正直ここのウタちゃんの返答、他でもない部長のアイリ先輩の前でこれを声に出して言ってしまえる。という点にウタちゃんの卑屈すぎて謙虚さとか慎ましさが一周回って失われている人格のヤバさは感じるが、個人としては『わかるな〜』と思ってしまった。群れの中に明らかに劣った者がいるとそれを淘汰しようと動くのは自然の摂理だからね……

 なんでこんな悲しいことを【女子高生たち青春と日常をアカペラ初心者の声優陣の成長と共に描く音楽プロジェクト】が思い出させるんだよ。

 

 到着した部室には既に部員であるレイレイ先輩、そしてムスブの姿が。ビビってる相手の前でファーストインプレッション『軽音部室にいた怖い人!』なの明らかに火に油だと思うが大丈夫か?

 

「めちゃくちゃモテそうだなって」

「めちゃくちゃモテるよ」

 【本人もその高スペックに自覚的かつ冷笑的な側面もある】さん!!!!!自分がモテることに一切の謙遜もなければ、その事実に対する自慢や承認、喜びもないであろう限りなく無の声色の返事がシンプルに怖い。おそらくレイレイ先輩もアイリさんの提案でアカペラを始めたのだろうが、何もかもに無関心で冷笑的な近衛玲音がなぜアイリ信者になったのか。今後明かされるのが楽しみ。

 

 ムスブに自己紹介され焦りまくりテンパりまくりでムスブに対し同級生なのに敬語を使い、何もしていないのに謝りどおしのウタちゃん。怖い相手に対しては敬語を使い、自身の一挙手一投足が相手になんらかの不快を与えているかもしれないから相手がアクションを取り次第すみませんごめんなさいの連打。この作品の低自尊心キャラクターの解像度怖いよ……

 

「あそこならもう辞めた。低レベルだから」

 

 また軽音部を低レベルと吐き捨てるムスブ。『歌える部活』かつ『高レベル』であることを入部の条件としていたムスブが(現状は)アカペラ部に腰を落ち着けているということは、アイリ、レイレイの二人のみの部として成立しているかも怪しい状態で、ムスブを惹きつけるだけの実力を見せたということになる。二人がアカペラを始めたきっかけやいつから始めたなどは明かされていないが、年長二人が明確に実力者であるのは安心できる。アカペラのみに焦点を絞れば。

 

 ウタちゃん側の自己紹介では、名前を褒められただけで吐いたり趣味からのコンボでムスブが気が滅入るまでネガティブ語りをしたりと絶好調。このレベルを捕まえてきて『また面白い子を捕まえてきたね』『でしょ』で済む年長組が本当に怖い。こういうところが全く安心できない。この人たちなんなんですか???

 

「じゃあウタちゃん、好きなものは?」

「歌うことです」

 これだけは素直に、直球に言えるウタちゃん。好きなだけで得意というわけでもなくて……とすぐに否定をつけはするが『歌うことが好き』その思いだけは根暗で卑屈であろうと真っ直ぐな形のまま、否定のタネにせず守っている

 自尊心が低い人間は、自分の持っているものを人に否定され、傷つく前に自分でそれをボコボコにしてへらりとしておくことで自傷以上の傷つきを未然に防ぐ行為をしがちだと思うのだが、ウタちゃんは自分の歌への好きに対しては絶対にこれをしない。この強い思いの根底の部分が明かされるのも今後楽しみ。(始まりたての作品なので今後が楽しみなことばかりになる)

 

あの、そもそも皆さんは何の部活なんですか?

ここまで『歌う部活は軽音部だけじゃないよ〜』だけで拉致連行して自己紹介までさせた女怖すぎ。

 

「あっ、あのスミマセン!私、変な笛部には入りません!!」

「あれはピッチパイプ!変な笛じゃない!最初に出す音を教えてくれるどちらかというとありがたい笛!黙ってみてろ!!」

 変な笛部、ウタ語録のなかで今のところ一番好き。確かに自分も公式動画の『ガーネット』で初めて見た笛だったが『歌う部活』と言われて来たのに初手変な笛見て変な笛部だと思って逃げようとするの、逃走反応が敏感すぎる。

 

 3人のハモリを聴いて感激するウタちゃん。

 

「歌がうまいし、3人しかいないのに音に厚みがあるし、楽しそうだし……」

「だけど……難しそうだし、私なんかにできそうにないし」

「……想像してた青春っぽくないし、マイナー感あるし」

「ムスブちゃんは怖いし……」

 とりあえず『自分にはできないところ探し』から始めて、そこそこ要求もしてきて、結果部に入るのを渋り出す質感がものすごく生っぽくて嫌。『できない理由、しない理由探し』のスキルツリーだけバンバン伸ばしてきた人間の話し方なんだよな。というか自身の卑屈根暗陰を自覚しながら青春っぽいことしたいの、めちゃくちゃハードル高そう。

 

「さっき私たちがやってた『ガーネット』知ってる?」

「わ、わかる……映画のやつ……」

 うたミル世界にアニメ版時かけが存在することが確定。アカペラ部の面々、(アイリは普通に好きそうな気もするけれど)ことごとく時かけが刺さらなそうなメンバーなので多分『金ローでやってたのを流し見してた』くらいの子たちが大半だろうな……なんならムスブとかは課題曲としか見てなくて時かけの主題歌ってこと知らなそうだな……という気持ちになれて本当に良い。

 

「好きなんでしょ。歌うこと。もっと好きになるかもしれない」

「……ムスブちゃん」

「アンタが最終的にどこで歌おうと勝手だけどね」

「あんな羨ましそうな顔しておいて、ビビって帰るなんて非合理的なこと。気持ち悪くて許せない」

 アイリ、レイレイ、そしてムスブに背中を押され、歌う決心をするウタ。ムスブは言い方こそ棘があるけれど、『歌うことが好き』と言い切り部の見学に来たウタの気持ちをウタ自身が無下にすることを許せないと、言っていることはものすごく誠実で、ウタのことを思っているように見える。

 

【声優が歌う】奥華子「ガーネット」|うたごえはミルフィーユ【アカペラカバー】 - YouTubeyoutu.be

件の公式の『ガーネット』アカペラカバー動画はこちら。変な笛もまだ参加してない二人も出るよ。

 

「わぁ……うわぁ……なんだか」

「皆さんのコーラスの中で歌うの、なんだか、ひとりじゃないって感じがしました」

「歌と歌で手をつなぐ……」

「自分の歌声のすぐそばに、皆さんの歌声がいてくれる……」

「ときには支えてくれて、叱ってくれて、導いてくれて、一緒にいてくれて……」

「アカペラってそんな声がいっぱい重なって……あの……」

「なんだかミルフィーユみたいですね!!!」

「??」

「??」

「それはよくわかんないけど」

「えぇぇえーーーーーーーー」

 2話のタイトルが『うたごえはミルフィーユ』だと聞いた時は「2話でタイトル回収って何???最終話???」と混乱していたが、蓋を開けてみれば『人と人とが歌声を重ねて一つの音楽にするアカペラに初めて触れたウタちゃんがその重ね合わせをミルフィーユのようだと感じた』というめちゃくちゃ真面目な回答が返ってきたので単純に感心してしまった。

 ミルフィーユといえば言わずと知れたフランス伝統の菓子で、パイ生地にクリームやジャム、コンポートなどを塗り、さらに上にパイ生地、さらに上にクリーム……と繰り返していってケーキのようにしたもの。その見た目自体がパイとクリームの層になっていることと、そもそもパイ生地自体が一枚の生地を何度も折りたたまれ、多層になったものであることから、直訳で『千枚の葉』という名前が付いている。ダブルミーニングでオシャレじゃん。

 そう考えると【うたごえはミルフィーユ】というタイトル、彼女らの濃厚すぎるキャラクター性から考えると単に歌声が重なってミルフィーユのようである以外の意味合いがあるのでは……?と勘繰ってしまう。

 彼女らそれぞれの持つ凄まじく濃ゆい性格や傾向、コンプレックスや願望、それらを生み出した過去などが個人個人のパイの層、それっぽくいうならばミクロの層に折り畳まれていて、それぞれバラバラのミクロの層を持つパイが歌というクリームによってマクロの層にまとめ上げられていき、一つの綺麗なアカペラ、ミルフィーユとなる。そういう意味も含まれているのかなと少し思う。自分は少し前までミルフィーユとミルクレープ(ミルフィーユのパイをクレープにした、ケーキ屋でよく見る安いやつ)の区別がつかなかったので信頼性は薄い。

 

 うたミル2話、ウタちゃんが無事アカペラ部に入部する……かな?というところで終了。どうしても主人公だし面白いしでウタちゃんの挙動ばかりに目がいってしまうのだがプライドが高く当たりが強いムスブ、人身掌握プロアイリ、そのアイリの信者を自称する器用万能レイレイとこんなにおもしれ〜奴しかいない作品他にありますか?というくらい各キャラクターの性格が尖っているし、何より山中拓也の書くコミカルな会話のテンポが大変良い。投稿日を月の何週目何曜日とかに固定してくれ以外の不満がない。

 

関係ないですがこれはキャラクターデザインのチェリ子先生のうたミル2話投稿時のツイート

(デザインの)生みの親にも様子がおかしいって思われてるんだ。

 

次回、3話感想が奇跡的に上がったらまたお会いしましょう。ここまで読んでくださった方、大変ありがとうございました。【うたごえはミルフィーユ】をよろしくお願いします。