【#うたミル】は部活動青春ものにどんな爪痕を残すのか
お久しぶりです。犬魚倞です。
皆さんは『うたごえはミルフィーユ』、通称『うたミル』という作品をご存知でしょうか。
恐らくご存知でない方が大半かと思われます。というのも、始動日はついひと月前の2022年4月28日で、現状存在するのは公式サイトとTwitter、Youtubeチャンネルとそこに上げられたプロジェクト解禁PV、キャラクター/キャスト紹介、第1話のオーデイオドラマ、そして彼女たちが歌う奥華子さんの「ガーネット」のアカペラアレンジ動画のみの始まったばかりのプロジェクトだからです。
しかし上記「ガーネット」アカペラアレンジ(投稿日は始動日と同日の4月28日)はYoutube上で現在10万再生以上されており、新しいプロジェクトながらも何かひとつでも噛み合えば爆発的に人気になるようなポテンシャルを秘めていると個人的に思っており、今後の動向を見守りたいと思っているプロジェクトです。(私がここまで入れ込む理由は後に説明させていただきます)
今回はそんな『うたミル』の概要と魅力、そして描かれるかもしれない未来の話をしてみようと思います。
まずうたミルって何?
正式名称『うたごえはミルフィーユ』の本作。“キャラクター×女性声優のアカペラプロジェクト”を掲げており、アカペラを通じてキャラクターとキャストの双方が成長していく物語を展開していくと公式Twitter等で紹介されております。
🎼うたごえはミルフィーユ🎼
— うたごえはミルフィーユ 公式 (@utamille) 2022年4月28日
キャラクター×女性声優のアカペラプロジェクトが始動!
人の声だけで紡ぐ音楽「アカペラ」を通して、キャラとキャストが共に成長していく物語──
YouTubeにて
①オーディオドラマ
②キャストアカペラMV
を軸に展開していきます!https://t.co/q8zb0eAFSQ#うたミル pic.twitter.com/Q1G2RKeOAi
テーマは何?
「アカペラ」×「女子高生」×「コンプレックス」がテーマとされ、公式サイトで確認されるキャッチコピーは「ーーーー輝かなくても、青春だ」
原作は?
制作は大手映像、音楽ソフトメーカーとしてその名を知らない人はいない「ポニーキャニオン」
キャラクターデザインはYoutubeで3000万再生以上されている和田たけあきさんの「チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!」
や、1000万再生以上されている「チェチェ・チェック・ワンツー!」
などのイラストを担当している「チェリ子」さん
【お知らせ】
— チェリ子 (@chie_rico) 2022年4月28日
『うたごえはミルフィーユ』
キャラクターデザインを担当させていただきました!
🎼公式HP 🎼https://t.co/QimVPgYqZ3#うたミル pic.twitter.com/kz7c1uJbYr
そして原作は「ポニーキャニオン」×「山中拓也」、シナリオは「山中拓也」となっています。
【告知】
— 山中 拓也 (@pug_maniac) 2022年4月28日
ーー輝かなくても、青春だ。
ポニーキャニオンより本日解禁されました『うたごえはミルフィーユ』の原作&脚本担当しております!
🎼公式HP 🎼https://t.co/TaEmt8YOj5
🎼Twitter🎼
@utamille#うたミル pic.twitter.com/sfK3GtB2EE
エッッッッ!?!?!?!?山中拓也!?!?!?
山中拓也って『偶像殺し×現代病理』を掲げて一部に独特の熱量を持つファンを抱える「カリギュラ」シリーズや、カリギュラシリーズで仕事を共にしたことでDECO*27と懇意になり「DECO*27×OTOIRO×山中拓也」でYoutubeを中心に行われている『音楽による裁判員制度』である視聴者参加型楽曲プロジェクト「MILGRAM‐ミルグラム‐」の山中拓也!?!?!?!?こんなキラキラ青春学園モノみたいなガワでシナリオが山中拓也!?!?!?!?
……取り乱してしまい申しわけございません。というのもわたくし、浅学ながらもそれなりに山中拓也さんの作品のフォロワーで、少なくとも上記2作品は追いかけている身なのですが、「カリギュラ」シリーズでは『現実で生きる上での苦しみやトラウマを抱えた人間が人格を獲得したバーチャドール(現実で言うボーカロイドのようなもの)の歌を聴くことで苦しみのない理想の世界に取り込まれ、主人公たちは理想世界を満喫していたけれどあるきっかけでその世界が偽りのものだと気付き現実へと帰還しようとする物語』が描かれ、「MILGRAM」では『10人の現行法で裁けない人殺しの囚人達の罪が監獄「ミルグラム」で歌と映像(ちょうどボカロの楽曲とMVのようなもの)で映し出され、それを見た看守エス=視聴者投票の結果によって囚人達が赦されるか赦されないか決定されリアルタイム展開する物語』が描かれています。
2作に類似点は少ないですが『偶像殺し×現代病理』、『トラウマ』、『偽りの理想世界』、『人殺し』、『囚人の罪の許否が視聴者投票に委ねられている』などなかなかに穏やかでないポイントが多いのが山中拓也さんの作品の特徴のひとつです。この2作以外のお仕事履歴を見ても比較的殺伐としたものが多く、女子高生の青春物語を書くよ!と急に言われたらめちゃくちゃ驚きます。
まあでも言われてみれば
しかしこちらの『うたミル』、よく見てみると山中拓也さん『らしい』エッセンスがふんだんに盛り込まれていて、たとえばテーマの「アカペラ」×「女子高生」×「コンプレックス」だとか、キャッチコピーの「ーーーー輝かなくても、青春だ」だとかは「カリギュラ」シリーズでキャラクターひとりひとりの悩みや葛藤(それも生死に繋がるような深刻なものから他人からすればそんなの気にしなくてもいいじゃんと言われかねない悩みまで)を平等に、丁寧に取り扱った氏の通底したテーマが見えるような気がします。
また、これは私の好きな山中拓也さんのツイートなのですが
無闇に暗いものや残酷なものを書きたかったり礼賛しているわけではなくて、現実を生きる上で、躓いて初めて見えるような小さくて目線の低い場所にあるようものを題材にするのが好きなだけなんだと思う。そういう小さいものに立ち向かう難しさを書くのが好きだけなんだと思う。
— 山中 拓也 (@pug_maniac) 2022年5月5日
だからより残酷に、よりエグく、より悲惨に、みたいなチキンレースをやるつもりはあんまりないし求められても楽しくやれないと思う。今はどんなデカいスケールでも、ファンタジーでも、僕らの生活に共通する卑近な話をやると思う。
— 山中 拓也 (@pug_maniac) 2022年5月5日
……と私たちの現代や生活の問題と地続きで、なおかつ当たり前すぎたり人によっては「しょうもな」の一言で終わってしまうような小さい躓きを徹底的に描き出すことが好きな方なのでファンタジーの魔法が使えない今作でどのように易しくない現実の躓きと向き合っていくのか個人的にとても楽しみです。
花言葉に真剣になろう
更に山中拓也さんの作品を楽しんだことのある方ならご存知かと思われますが山中拓也さんはキャラクターの誕生日を誕生花と花言葉で決めているきらいがあり、
本日お誕生日の方おめでとうございます。 #カリギュラ2 ではドクトルの誕生日でもあります。
— 山中 拓也 (@pug_maniac) 2021年9月1日
誕生花はマリーゴールド。名前の由来は「聖母マリアの黄金の花」。共存相手に良い影響を与えるコンパニオン・プランツとしても有名でその万能性から「植物のお医者さん」と呼ばれたりも。花言葉は『絶望』。
#カリギュラ2 のドクトルと、#MILGRAM のユノがたまたま同じ誕生日なわけですが、同じ日でも誕生花は違うのです。(ユノの方はまだ内緒だけど)花言葉おじさんは誕生花のそういうところが好きなんですよ。
— 山中 拓也 (@pug_maniac) 2021年9月2日
みんな大好き「カリギュラ2」の9月2日生まれ花言葉『絶望』自罰医者と「MILGRAM」のユノさんは誕生日が同じだけど誕生花が違う。9月2日の誕生花はマリーゴールドかチューベローズなので恐らくユノさんはチューベローズなのだがこちらの花言葉は『危険な快楽』。花言葉考えたやつが9月2日生まれの人間個人的に恨んでいないと『絶望』と『危険な快楽』の2択にはならんやろ。
その要素はしっかりと『うたミル』にも受け継がれている、というか強化されすぎて公式サイトに初手で載っています。
個人的にアザミの花言葉って「報復」とか「厳格」の方がイメージ強いのですが(というか「安心」が載っているところを見たことがない)公式サイトにブラフ貼っているのか花言葉真摯おじさんは花言葉ではそんな事しないのかどうか、今から心理戦が始まっています。
キャラ造形も凄いぞ
更に公式サイトをよく読んでみるとなかなか凄く、恐らく主人公枠であろうウタちゃんの説明からしてこうなんです。
いくら「引っ込み思案な私だけど、ここで頑張ります!」タイプの主人公でも『人見知りの内弁慶でヘタレでチキン』まで言われることはないだろ。
全部見ても30分くらいだからとりあえず聞いて欲しい
とまあウダウダと『うたミル』、やべーかもしれん!見よ!!とブログでダラダラと言い続けてきましたが、最初に言った通り『うたミル』は始まったばかりのプロジェクトで現在履修すべきものがとても少ないのが特徴です。キャラクター紹介×6(2分×5人+4分1人)とボイスドラマ#1を見て「ガーネット」を聞けばそれでOK。当然まだまだ始まったばかりの作品なのでどう転ぶかは全く分かりませんが、私は何よりキャッチコピーの「ーーーー輝かなくても、青春だ」に既にしっかりとキャッチされてしまっています。誰も彼もが輝かしい青春を送るわけではない。光あれば影があるし楽しいことばかりなどありえないしドラマチックな挫折やそこからの格好良い再起なども都合よくあるものじゃない。勿論それらを素晴らしく描いている名作は沢山ありますが、もしかしたら『うたミル』は、それら名作にノることが出来ない、輝かない青春を生きた人間に刺さる一作になるのかもしれないポテンシャルを秘めています。どこか引っかかるところがあった方は、是非キャラクター紹介から見てみてください。初手「嫌いな物:クラスカースト上位の人」の強烈に“陰”の主人公が襲いかかってきます。