コンパスのキャラデザがすごいよって話
本日、『#コンパス【戦闘摂理解析システム】』が五周年を迎えた。たいへんにめでたい。自分は2018年の夏頃にコンパスと出会ったので五年間ずっと見てきたという訳ではないのだが、だとしても三年ぐらい継続して遊んできたというのは結構衝撃である。
このブログはコンパス五周年めでたいねの気持ちを込め、日々ボンヤリと考えている『なぜ対人ゲーが苦手なはずの私がコンパスだけは続けられているのか』その回答であるコンパスのキャラクターデザイン(ここで言うキャラクターデザインはキャラクターの見た目だけではなく設定などを包括し『そのキャラクターを我々プレイヤーにどう見せているか』の意味)の秀逸さの話をしたいと思う。
語らない
コンパスには多彩なヒーロー(コンパスでのキャラクターの総称)がいる。現在時点でコンパスオリジナルのヒーローの数は34人。キャラクターごとに世界観もバラバラで、亡国の総帥、IQが340あるニート、現代忍者Youtuber、アニメに出てくる魔法少女など「なんでこいつら同じゲームに出てきて戦ってんの?」という感じの濃い味付けの顔ぶれが並ぶ。こんだけ濃いなら設定も凝っているんだろうなぁと思うこと請け合い。
しかし実際にコンパスを開いて、キャラクター紹介の欄を見てみるとこうである
「魔法少女リリカルルカ」の主役
人気は「ルルカ」のほうがある
29文字2行の簡単な説明だけがポツンと書かれている。
ほかのヒーローも見てみると
総帥と呼ばれるこの男の素性は
決して口にしてはいけない
同じく2行の簡素な説明がされている。
多種多様な34ヒーローを抱えながら、コンパスは徹底してキャラクターについて多くを語らない。例外として月に一度のイベント、シーズンではそのシーズン担当のヒーローの日常が描かれたショートショートが描かれたりヒーローのバランス調整時にちょっとしたテキストが付随していたり、ヒーローの中でもリリース当初からいるオリジナル10と呼ばれるヒーロー達はショートアニメが制作されていたりするがそれらはほとんどの場合既知の情報の範囲を出ない。最低限の情報のみを与え余白を作り、受け手の想像を膨らませる。そうは言ってもこれだけではキャラクターデザイン(見た目の方の意味)と2行テキストしかなく余白が広大すぎて想像の余地すらない。じゃあほかの要素はどこに転がっているのか?それを説明したい。この記事で全ヒーローに触れるのは大変なので以降は『魔法少女 リリカ』に関連するものに絞りだいたいこういう感じで情報を出してくるよと紹介する。
世界観カード
コンパスは使用ヒーローを一人選択し、4枚のカードでデッキを組み戦うゲームである。カードにはレアリティ、イラスト、名前、色、効果があり、イラストと名前はヒーローと関連のあるものがデザインされている。このカードに描かれている物事が余白を埋める内容だったり、さらに余白の白さを強めるフレーバーだったり性能だけでは語れない魅力を持っている。
UR【全員集合!魔法少女リリカ☆ルルカ】
『魔法少女リリカ☆ルルカ』が5人組魔法少女グループだということが分かる。
SR【魔法少女☆ルルカ】
上記【全員集合!】の中で黄色い子が魔法少女☆ルルカ。リリカのキャラクター説明に出てきた『人気は「ルルカ」のほうがある』のルルカだと分かる。この時点でリリカからルルカへの感情がどのようなものかは分からないが、このカードの効果は【黙】と【周】。周囲攻撃カードでサイレント(食らうと一定時間カードや必殺技が打てなくなる)効果持ちなのだがリリカは周囲攻撃カードの発動が遅いのでこのカードと相性が悪い。フゥーン……?(周囲に限らず全ての攻撃カードの発動が遅いから上記【全員集合!】とも下記【運命の女神】とも相性が悪いのは内緒)
UR【運命の女神 エボリューション☆リリカ】
なんかリリカ最終フォームっぽいやつ。ステッキのハートの下に他のメンバーの色のハートが集まって四葉のクローバーのような飾りが付いてるのが良い。なぜリリカがこうなるのかはコンパスにしては珍しくリリカのショートアニメで語られている。最終的にリリカは全てを超越したような“これ”になるのだが今はそうではない、過程の姿がヒーローとして実装されているのだと取れる。
このような感じで世界観カードから結構ヒーローの色々なことを想像することが出来る。説明欄の2行紹介では『魔法少女リリカ ルルカ』の主人公で、でも人気はルルカの方がある。ということしか分からなかったリリカについて、リリカルルカはどういうメンバーで構成されているのか、リリカは最終的にどうなるのか、深読みするなら自分より人気のあるルルカに対してリリカが抱いているかもしれない感情までもがうっすらと見えてくる。
世界観カードはキャラクター実装後結構経たないと実装されないので、カード無しの時点で色々推測するも楽しいし、カードが来て改めていろいろ考えるのも楽しい。
ボイス
当然だがキャラクターがいて声優が付いていてバトルするのでボイスがある。このボイスの方向性で大まかな性格は分かってくる。パッとリリカの性格が分かりそうなものを上げると、
ゲーム起動時:『魔法少女リリカ、君のために戦うよ!』
キャラクター選択時:『選んでくれてありがとう!頑張るからね!』
敵キル時:『リリカのこと、嫌いにならないでね』
自身デス時:『ルルカ……助けて……!』
勝利かつベストプレイヤー時:『魔法少女リリカルルカ、お仕事完了!』
こんなところだろうか。全体的に献身的な魔法少女という印象を受けるが選択時の『選んでくれてありがとう』やキル時自ら手を下した相手に『嫌いにならないでね』と言うところなどは前述の人気の話などと組み合わせると割と面白い捉え方が出来る。
そしてデス時の『ルルカ……助けて……!』である。へぇ……?
性能
コンパスには4つのロールがある。足が早くダッシュアタックを持つ『スプリンター』、最前線に立ち相手を倒すことに長けた『アタッカー』、後方から長い射程で相手を削ることができるが耐久が不安な『ガンナー』、高い耐久でチームの陣地を守る『タンク』の4種だ。当然妨害特化のアタッカーや高耐久なガンナー、攻撃的なタンクなどロールの中でも色々なタイプのヒーローがいるので一概には言えないが、リリカはこの中では素直な性能のガンナーである。
攻撃防御体力全てあまり高くはないがアビリティの効果で自分の陣地を防衛して(踏んで)いる時は自身と、同じ陣地を踏んでいる味方の攻撃力を上げることが出来る。自分一人の力でなくみんなで頑張ろうとする姿勢はだいぶ主人公っぽい。このみんなで頑張ろ系スキルの名前が『わたしのために がんばって』である。ヘェ……??
ヒーローには攻撃防御体力の他に攻撃カード適正というものがある。コンパスの攻撃カードは目の前の敵に強力な一撃をお見舞する【近】、遠くの敵を狙うことが出来、攻撃が複数段に分かれている【遠】、周囲一定範囲をまとめて薙ぎ払う【周】、ヒーローから扇状に射程が発生し最大10発当たるロマン砲の【連】がある。この4種類のカードの適性はヒーローごとに様々で、桜華忠臣ならば近が速いので近を、双挽乃保なら連が速いから連を、とヒーローに積むカードの指針になるのだが、
リリカはなんと全てのカードが遅い。
「まさかリリカが攻撃カード詰んでるわけないやろ」みたいな油断を突く超高等プレイをしようとでもしない限り攻撃カードを積むことが選択肢に上がらない。このメチャクチャなカード適性に何かを見る人もいるだろうし実際後述する楽曲を鑑みるとおおむね正解である。
ともあれ積むカードの話をすると、どのヒーローでも発動速度がほぼ同じな敵弱体化や味方強化系の支援カードを積むことが多くなる。基本的に自身が突出して強くなることよりも『みんなで頑張る』ことを目的としたプレイングに自ずとなるデザインをしている。
楽曲
正直これの話をするためにブログを書き始めたと言っても過言ではない。コンパスプレイヤーなら分かってくれると思う。
今まで書いてきた通り、コンパスのヒーローはテキストで多くを語られることはなく、カード、ボイス、性能などからキャラクターの形の欠片のようなものを集めて全景を想像する楽しさがある。しかしそれらは氷山の一角でしかなく、コンパスヒーローを考える上で最も大きな要素であるのがこの楽曲だ。
コンパスのヒーローは一人一曲、有名ボカロPが制作したテーマ曲を持っている。制作陣はそれはもう豪華で、最近だとKINGなどのkanariaさん、ビターチョコデコレーションやうっせえわのsyudouさんなどを起用している。
謎の多いキャラクターが居て、キャラクターのテーマ曲がボーガイド楽曲で存在する。そうなったらやることはひとつだろう。そう。『考察』。ボカロリスナーならご存知だと思うがボカロ曲は内容が明快だろうと難解だろうと受け手側がめちゃくちゃ考察したり解釈を考える文化がある。リズムを聴き、歌詞を読み取り、MVの意味を読み解こうとする。だからテキストは最低限でいい。楽曲が何より雄弁なので。
リリカの楽曲は『アルカリレットウセイ』。かいりきベアさんの書き下ろし楽曲である。
『失敗作少女』などで有名なかいりきベアさんに依頼している時点でかなりのうわぁ値をたたき出しているが挙句の果てに『劣等生』である。全攻撃カード適正無し、『選んでくれてありがとう』、『嫌いにならないでね』、そして『劣等生』……何よりも実際に動画を見て頂くのが一番良いが歌詞の方もなかなか凄まじいことになっていて、これを聴くと聴かないとでリリカのイメージはだいぶ違うものになると思う。そのくらいコンパスに於いて楽曲の重要度は高い。この楽曲はバトル時にも流れるのだがコンパスで流れるものはいわゆるゲームサイズ、一番のみの物で、こちらも世界観カードと同じようにフルサイズが投稿されるまでは時間が空くことが多い。一番だけで分かった気になっていたら二番でボコボコにされるなどよくある。
要はコンパスのキャラデザの何が凄いの?
ここまで長々とろくろを回してきたが要するに『多くをテキストで語ることはせず、色々なところに散りばめたフレーバーとキャラクターそのものである楽曲を元にプレイヤーに想像をさせる』ところが凄い。楽曲は雄弁ではあるが歌であるがゆえに明瞭には語られない部分やMVのアレどういう意味?となる部分が必ず出てくる。そこにプレイヤーの思考の余地があり、プレイヤーごとのコンパスヒーロー像が出来上がっていく。敢えて余白の白さを際立たせ、ここに当てはまる色を探してみてねと言わんばかりのキャラクターデザインに気がついたら夢中になってしまう。あーでもないこーでもないと言いながらそんなことをしていたらあっという間に三年が経ち、コンパスは五周年を迎え、オリジナルヒーロー34人全員を好きになっていた。
コンパス非プレイヤーは知らないだろうから蛇足を付け足すとリリカ関連で時折名前が出る魔法少女ルルカが一昨年ヒーローとして実装された。三周年記念くらいから世界観カードのキャラクターをヒーロー実装するようになり、その第二弾であった。
ちなみにテキストがこうで
世界観カードがこうで
カード速度がこうで
アビリティがこうである
役満。
終わりに
昨日まで全然何かしようとか考えていなかったのだがいざ五周年当日となったら思っていたよりも嬉しく、何かしたいな、と思い常々考えていたコンパスのここが凄いよを頑張って言語化してみた。数時間で思ってることをバーッと書いたのでおかしな点が色々あるかもしれない。見つけたら修正します……改めてコンパス五周年おめでとうございます。私が継続して遊んでいる対人ゲームはコンパスだけです。今冬リリース予定のリズムゲームも楽しみにしています。これからも末永く適度にお付き合いしていきたいです。